2020年11月02日

北の修道士の畑


1日が日曜日だと曜日感覚がずれませんか
そして、また明日は祝日だし。

今日は寒い、雨の名古屋です


先日の集まりでお客様にニコラ・ジョリーのクロ・ド・ラ・ベルジュリー2016を飲ませていただきまして、
美味しさに感動しました

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滅多に輸入がないレアなワインですよ

ニコラ・ジョリーは3つの白ワインしか生産しておらず、トップのクロ・ド・ラ・クレ・ド・セランと一番馴染みやすいサヴニエール・レ・ヴュー・クロが正規品として通常輸入されています
真ん中のクロ・ド・ラ・ベルジュリーは生産量が少ないのでほとんど輸入がなく、この16年の前は10年以上前の輸入になります。

なので、入荷の連絡をもらった時には即答でケース買いしました

ニコラ・ジョリーと言えば、ビオディナミの代表・トップですが、難しいワインじゃありません。
(確かにお父さんの話は難解ですし、5日前に抜栓するとか??通常の感覚ではありませんが)
ビオ云々、関係ないです。
やっぱり美味しいワインは製法どうのよりも、飲めば分かりますね

無理なく美味しい、フルーティさと鉱物感が混ざった香り、芯の太い果実感、余韻も長くて良かったです
さっさと飲んでしまった。

理屈ではなく、早く無くなるワインが一番いい飲み頃っていう事です
若いワインもそれはそれで楽しめますし、経験になるからいいんですけど、やはり若すぎると進まないですよね。

ニコラ・ジョリーもまだありますので是非飲んでみてください〜
01のクレ・ド・セランもあるよ



で、今日はそれ繋がりで違うシュナンブランを紹介します

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ダミアン・ロロー サヴニエール プティット・ロッシュ2018

この生産者が分かる方は情報通ですね
日本での知名度はまだまだですが、ヨーロッパではかなりの注目生産者です


生産者の前にサヴニエールというAOCを復習しましょう

サヴィニエールはフランスの北西部、ロワール川の流域にある産地です。
ロワール川はフランスで最も長い河川で国土の中央から大都市ナントまで流れ、大西洋に注いでいます。

長く広い流域には多くのワイン産地があり、河口のナントから大きく4つに分類されています

1.ペイ・ナンテ ミュスカデの産地ですね
2.アンジュー・ソミュール地区 古都アンジェの周辺にある産地で、今日のサヴニエールはここに属しています
3.トゥーレーヌ地区 ヴーヴレイが有名です、古城も沢山あるので観光地でもあります
4.セントル・二ヴェルネ サンセールが代表的です、ここは河口からは遠く離れたフランスの真ん中に位置しています

2と3を混同しちゃう方が多いんじゃないでしょうか??

ソミュールシノンが区別できないとか
(ロワール川には支流が多いし、余計に地理も覚えづらいかも)

地図はこちらで確認できます ↓
https://www.vinsvaldeloire.fr/en/vineyard-map

いい地図です
ロワールワイン委員会より、日本語はないですがとても便利ですよ

ロワールはAOCが多い割には、日常で馴染みがない物が多いのでややこしく感じるかもしれません。
PGIまで入れると一層、未体験のワインが増えますし。

しかし、ロワールの多様性と北に位置する優位性はこれからもっと注目されていくでしょう

今日のワイン産地はここです ↓

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同上、ロワールワイン委員会より

細かいですが、緑の丸で囲った場所がサヴニエールです。

サヴニエール白だけに認められたAOCで、シュナンブラン100%でなければなりません
味わいは辛口から甘口までOKですが、発泡ワインはこの名前では作れません。

ここのAOCは、元々、一つの「サヴニエール」という呼称だけがあったんですが、その一部である二つの地区が、
サヴニエール・ロッシュ・オー・モワンヌ
クレ・ド・セラン

という新しいAOCとして独立したのが2011年、まだ最近です。
そうして3つになったんです。
(クレ・ド・セランはニコラ・ジョリーのモノポールです、昔のラベルにはサヴニエールの表記がありますよ

サヴニエールはアンジェやトゥールの街と比べるとかなり田舎です

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ダミアン・ロローHPより

なーんにもありません。周りは畑と森だけ。
農業には良いですけど。

面積が小さい事もありますが、サヴニエール全体でも生産者は30程しかいません、
全体の生産量で年間5万3000本程度です
(中堅シャンパーニュメゾンのポルロジェが年産160万本である事と比較するとその規模が分かるでしょうか)



で、ようやくダミアン・ロローの話です

ロロー氏は1999年、勤めていた肥料会社を退職しアンジュー・ソミュール地区でワイン作りを始める決心をしました。
なぜそうなったのはかはHPには書かれていませんが。
(余談ですが、輸入元とロワールワイン委員会の載せてる彼のウェブサイトは正しく表示されないようです)
その後、2006年にサヴニエールだけに特化し、その他の畑は手放しています。
現在、所有する畑は8.5ha

こんな方 ↓

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HPより、以下同じ

彼のサヴィニエールはそれまであった、「アロマの乏しい青いワイン」のイメージだったサヴニエールを一変させたと言われています

百面相のブドウ、シュナンブランは酸が強く、熟度とのバランスが非常に繊細で収穫の時期を慎重に見極めないといけない難しい品種です
畑に何度も入る辛抱強さも必要です。

ロロー氏は、
『果皮が金色に変化するまで待ち、種まで熟させる。
酸度が落ちる直前に収穫。貴腐菌が少なく、酸度、・熟度の高い状態を目指している』

だそうで、バランスがいい辛口で、香りが豊かなのが頷けます。

畑は2009年からはオーガニックに転向、カバークロップが生え放題 ↓

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こちらの最高峰はロッシュ・オー・モワンヌです。
今日のワインは一番ベーシックな物ですが、同じコンセプトで作られていますので入門編には最適です

収穫後のブドウは破砕されて樽で発酵、そのまま熟成されます。
『還元ではなく常に少量の酸素とコンタクトしながら発酵、熟成し成長させる。還元でワインを守るので はなく、健全に成長させる』

という考え。
トロピカルフルーツのアロマがある様な華やかな作りですが、厚過ぎない辛口で繊細さも十分感じられます。

軽めの前菜やヤギのチーズにもよく合います

こういうワインを日常に取り入れるといいマリアージュが楽しめますよ



実はこのワイン、一昨年ニコラ・ジョリーを訪問した後で紹介してもらったレストランでマダムが出してくれたワインなんです

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その時にはこのワインは地元でとても人気があって有名だと、お勧めしてくださいました。
確かに美味しかった〜

他のも買ってみたいな。















posted by cave MITSUKURA at 16:40| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする