2021年01月22日

シャンパーニュでなくても素晴らしい泡はある


久しぶりにの名古屋です、小雨ですが湿度が上がるといいな
外よりも店内の方が寒い、どーなってんだ

あちこちの輸入元でも欠品してるワインの入荷の目途が立たなかったり、コロナの影響が出ています
欲しいワインが買えないのがつらい。


シャンパーニュ福袋は残り14になりました
ですが、未だクリスタル1本、パイパー・エドシック レア2本、ドラモット2012 2本残っております。
大人買い、いらっしゃいませ




変わり映えしない店頭のワイン達ですが、今日はこちらを紹介します

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ユエ ヴーヴレイ ペティアン・ブリュット・レゼルヴ2009

ユエは知名度高いと思いますがご存知ですか??
フランス、ロワール地方のトゥーレーヌ地区のドメーヌです。

前にも何度か紹介しました ↓
https://cave-mitsukura.seesaa.net/archives/20180909-1.html

2018年の訪問記はこちら ↓
https://cave-mitsukura.seesaa.net/archives/20180615-1.html

今日のワインは発泡ですが、他にも2019年のセックが新しく入荷しています
ペティアンとは微発泡のスパークリングワインを差すフランス語で、クレマンよりも気圧が低いのです。
(クレマンやシャンパーニュは5気圧、ペティアンだと3気圧程度)

ロワール地方では多く生産されていて、この地域ではレストランでは食前酒はクレマンよりもペティアンが多いですね


19年はユエにとって節目のヴィンテージとなりました。
ユエの偉大な醸造長であるジャン・ベルナール・ベルトン氏が19年の醸造を最後に引退したからです
彼は41年も醸造長を務め、ユエのワインは全て彼の手による物です。
引退は残念ですが、長い間お疲れ様でした。

引退した醸造家はペティアンのルミアージュをしにセラーに通う、と聞いたんですがベルトンさんもそうなるんでしょうか
(ルミアージュとは瓶内二次醗酵が終わって熟成させたボトル内にたまった澱を瓶口に集める作業です。
逆さまにした瓶をくるくる回してゆっくり立てていきます)

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これがルミアージュ中のボトル

ドメーヌはワイン名の通りヴーヴレイにありますが、ユエはこのAOCの一等賞で間違いないでしょう
ヴーヴレイの名前を広めるのに大いに貢献しています。

ヴーヴレイというワインは白だけに認められた呼称です、そしてシュナンブラン100%でなければいけません
味わいは辛口から甘口までOK
発泡でもOK

シュナンブランはこの辺りではピノー・ド・ラ・ロワールとも呼ばれています
元は酸の強い品種ですが、辛口の発泡から貴腐の極甘口まで色々な種類の味になる百面相ブドウです


ヴーヴレイはロワール川の中流にある大都市トゥールからすぐの場所にあります
小高い丘の上がユエの畑ですが、その丘の下をTGVが通ってるんです。

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その昔、トゥールにTGVが開通することになり、パリからくる線路をどうするか決める時にヴーヴレイの畑を潰して線路にしようという意見があったのですが、当時のトゥール市長だったのがユエのオーナーであるガストン氏で(彼は初代ヴィクトワール氏の息子です。市長を42年間も務めたそうです、長過ぎ?私の聞き間違いかな)ブドウ畑を潰すことなく地下にトンネルを作る事でヴーヴレイを守った功労者です。

ユエは、
ル・モン
オー・リュー
クロ・デュ・ブール
、と
3つの区画を所有しており、植えられているのは全てシュナンブランです
なので白しか作っていません。

それぞれの区画事に、セック(辛口)、ドゥミセック(やや辛口)、モワルー(甘口)、と3種類の味がありますが、セックは中々作られないのです
それには意外?な理由があります。

ユエはビオディナミで発酵も自然任せ、ですから発酵が終わってみて初めて、辛口になってるのかやや辛口になっているのかが分かるという「天のみぞ知る」醸造なんです

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収穫したブドウは半分、100年以上使用された600リットルの大樽で発酵させますが、基本的にほったらかしです。
(樽は温度管理をしているそうで、タンクじゃなくて樽発酵で温度管理をするのは極めて珍しい行為です)
残りはステンレスタンクです。
どちらもブドウに付いた野生酵母だけで発酵させますが、低温のセラーでゆっくり発酵が進み、ワインには深みのある香りとコクが生まれます

MLFは行わない
バトナ―ジュもしない


それなのに、あれほどのコクがあるのは意外ですねー
ブドウの質が高いのも重要な理由でしょうね
(ユエではブドウの果皮に付いた泥を果汁に入れないように、発酵前の果汁にフィルターを使っているんですが、それもかなり珍しい事です

今日のペティアンは通常よりも長い熟成のレゼルヴです
(普通のペティアンは2014が出荷されています)

2009年はロワールでは涼しい年でいい酸やミネラルがブドウに温存されていたために、長い熟成のレゼルヴを作る事になったそうです
シャンパーニュもそうですが、瓶熟が長いと相応の酸がなければ味がぼやけてしまうので、酸の存在は非常に重要なのです。

スティルワインと同じように発酵させたワインを1年程寝かせて落ち着かせます。
この時点で行った味見では驚くほどレベルの高いワインが出来上がっていたそうです
その後、そのまま瓶に移して二次醗酵へ移行させます
シャンパーニュやクレマンの様に糖分を添加する事はしません、意外でしょ?

なので、気圧の低いペティアンになるという訳です
この理由、分かりますか??
一次発酵で残った糖分だけを使用して発酵を続けた結果、発泡酒になるのです。
アンセストラル方式と同じ理屈ですね。

09年は6年も瓶熟に費やした正にレゼルヴです
法定の瓶熟期間は12ヶ月、僅か1年なので、ユエの拘りはすごい

お値段はまーまーしますが(一葉さんと少し)、
これは飲んでみる価値がありますよ

残糖は1g/Lとかなり辛口なんですが、そうは思えない豊かな香りとコクがあります。
余韻が長いし、後味も非常に複雑です。
蜂蜜やバターに加えて、マンゴーやパイナップルみたいなトロピカルフルーツの香りがします。

流石の高品質、レゼルヴは常にある訳ではありませんのでお早めにお試しください〜















posted by cave MITSUKURA at 16:54| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする