2021年12月25日

異端も進化の始まりか


今日はまだ寒さは緩いようですが、明日からは急に昼間の気温も5度以下になるようで…
12月だしね、そんなもんでしょう。
しかし、雪は降っても、積もらないで欲しい
大丈夫でしょう(楽観)、積雪があるとすれば年明けでしょうね。


曜日の感覚が薄れる12月(何故だろう)、今年もあと1週間になりました
皆様の2021年、ベストワインは何でしょうか?

てんちょは、何だろうなぁ…
一つに決めるには難しいですね、

今年は縦飲みよりも各生産者や各アペラシオンに特化したワイン会をそれなりに開催出来て、それが個別の理解を深めてくれたと思います
また、珍品アルメニアワインやボリビアワインにも感動しました
やっぱりDRCは貴重だし、大事に飲みますし

コロナの影響で大きな会は開催できませんでしたが、来年はもう少しセミナーやワイン会を広く募集出来たらと思います

そう言えば、ここ何回か、個人的に飲んだワインが意外と期待と違ってたので、この1週間で巻き返したい
終わりよければ〜、の心意気で。



今日はある意味珍品のワインを紹介します
輸入元にも大量在庫は無いようですが、今ならまだ入手困難ではありません、店頭には6本くらいあります。

M18 モンジャール・ミュニュレ.jpg

モンジャール・ミュニュレ エム18 ヴァン・ド・フランス

フランス、ブルゴーニュ産の赤ワインですが、
「ブルゴーニュ」ワインではありません

分かります?

つまり、ブルゴーニュ地方で作られてはいますが、ワイン名はブルゴーニュを名乗っていません(名乗れません)
それは何故かと言いますと、このワインはマルベック100%で出来ているからです

ブルゴーニュでマルベック、初めて聞きました
何とまぁ、突飛な取り組み。

更に作っているのがモンジャール・ミュニュレです
モンジャール・ミュニュレはヴォーヌ・ロマネの老舗ドメーヌで、古くからの地主としても知られる名門です
ドメーヌ自体の設立は1941年ですが、その前から9代に渡ってブドウ栽培・ワイン醸造を続けてきた家系です。

ドメーヌの近所でホテル&レストランも経営しています、ここ泊まりたかったけど満室だった
アルヌー・ラショーもご近所。

12月10日のドメーヌSNSより ↓

モンジャール・ミュニュレSNS.jpg
すっかり雪景色のブルゴーニュです


そのモンジャール・ミュニュレですが、現当主のヴァンサン・モンジャール氏の代になってからは積極的に畑を増やし、現在では33haもの畑を所有しています。
その内特級エシェゾーでは最大所有者であり、全部で35ものアペラシオンのワインを生産する大きなドメーヌに成長しています

この生産してるアペラシオンが15でも言える方はかなりのブルゴーニュ通ですな

で、
当主のヴァンサン・モンジャール氏はマルベックがお好きだそうで、所有するフラジェ・エシェゾー村の畑にマルベックを植えて作ったのが今日のワインです

ラベルにはマルベックとも、何年とも書いていません
ヴァン・ド・フランス、つまりテーブルワインなのでヴィンテージ表記の義務がないのです。
ワイン名のM18が「マルベック2018」を表してるようです。

樹齢は7年程度、まだ新しい試みなのです。
レジョナルの認定畑で栽培したマルベックを手作業で選果、全房発酵の後、demi-muids(ドゥ・ミュイ)と呼ばれる500リットルほどの中樽で熟成させています。

この樽ですが、ブルゴーニュでは通常ピエスと呼ばれる228リットル(シャブリやボジョレーでは多少違う事があります)の樽を使いますが、ドゥ・ミュイはそれよりも少し大きめの樽ですね。
因みにボルドーの樽は通常225リットルでバリックと呼ばれています。
材料はどれもオーク(フレンチオーク)、白樫です。

マルベック色が黒く堅牢なフルボディワインを作る品種としてイメージされると思います
カオールアルゼンチンが最も知られる産地で、やはり濃厚なワインで知られています。

今日のマルベックはそれからすると、かなりエレガントでクラシックです
外観は透明度が高く赤い液体でも透けて見えるくらいです、香りもコーヒーやチョコは全くなくて、ラズベリーの様な甘酸っぱい香りが控えめにします。
アタックも優しく酒質もシャープな印象、最近の果実味が前に出てるようなブルゴーニュに慣れた方が多いでしょうから、結構酸味があって甘さがないのに戸惑うかも。
少し前の若いブルゴーニュの様な飲み口です。

はい、このワインはまだ若く飲み頃前なんです

今飲んで、すぐに「わー、美味しい」とはなりません
そっけないくらい、そして多少酸が目立つ。
しゃーない。
しかし、1年も待てばかなりチャーミングになって、いい香りがするでしょう

酸とアルコールが熟成の必須要素です
どちらも必要、それが変化してブケと呼ばれる香りに変わる。
何とも不思議な物です。
あんなに酸っぱかったのに、複雑な香りに優しく甘さが漂う高貴なワインに変化するんですよー

勉強と言うか、経験としては、2本買っておいて、
今飲む
来年また飲む

と、熟成の変化がよく分かっていいですよ

税込2800円なんで2本買ってもそこまで大金じゃない
熟成の勉強は経験が非常に重要です。

果実味一辺倒のワインが多いので、こういうワインはかえって新鮮かもしれません。
しかし、それを心して飲まないと、ただの「美味しくない」ワインになっちゃいますのでご注意


今では非常に特異な取り組みである、ブルゴーニュでのマルベック栽培ですが、ボルドーでもポルトガル品種が認められるようになってますし、時代による変化はあって当然かもしれません。
100年くらいしたら「昔はブルゴーニュではピノノワールと言う品種が主要で…」なんてことになったりして





















posted by cave MITSUKURA at 16:11| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする