2022年11月12日

香りを裏切る味わいかも


昨日、11月11日は色んな「○○の日」でしたね
中国の独身の日、ポッキーの日…などなど

ワイン業界だとやっぱりサンマルタンの祝日です
ホイリゲの解禁日でもあります、って前回も書きましたね。

今年のホイリゲはどうでしょう?
何も情報がないんですけど
毎年の爽やか青りんごに期待したい。



今日は新しい白ワインを紹介します
この前の試飲会でいいなと思って買ってみました

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ツィント・ウンブレヒト ミュスカ グランクリュ・ゴルデール2018

フランス、アルザスの特級、白ワインです
辛口です。

ウンブレヒトは、ドメーヌのとしての創業は1959年と戦後ですが、ブドウ栽培の歴史は1620年まで遡れる非常に歴史のある作り手です

現在の当主のオリビエ・ウンブレヒトさんで12代目、この方はフランスで最初のマスター・オブ・ワインでもあります
26歳の若さでマスター・オブ・ワインになっている大変な勉強家です。
(マスター・オブ・ワインはお金も時間も労力も尋常でなく必要な超難関資格です)

こんな方 ↓

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HPより、右はお父さん


ドメーヌはアルザスの真ん中、コルマールの近隣のテュルクハイムにあります。
エコセールの認証を取得して2002年には全ての畑をビオディナミに転換しています
所有畑は40haで、その内グランクリュは5つ

ランゲン・ド・タン 5.5ha
ゴルデール 0.9ha
ヘングスト 1.4ha
ブランド 2.4ha 
ソンメルベルグ 面積不明
(2010年取得のもっとも新しいグランクリュ)

今日のワインは一番小さいグランクリュのゴルデール、ブドウはミュスカ100%

アルザスグランクリュ51の中で5つでも言えたらかなりのワイン通だと思いますが、
このゴルデールの場所が分かる方はいますかね??

ゴルデールがあるのは、コルマールの南10キロほどのゲヴェルシュヴィールという村です。

多様な土壌のアルザスですが、このゴルデールのみ、アルザスでは海洋由来の石灰岩質の土壌だそうで、力強い骨太のワインが出来るそうです
ここにはゲヴェルツトラミネールとミュスカが植えられていて、その香りのボリュームには感動します

こんな畑 ↓

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HPより、白い表土から石灰質が伺えるでしょうか

ゴルデールの開墾の歴史は古く、西暦750年には既にブドウ栽培の記録があり、優れた畑として知られていたそうです
その後中世では修道院の所領となり、ワインの名前は一層有名になりました。
フランクフルトの市場での特別な販売に市から許可を得ていたくらいの名声があったそうで、今ならモンラッシェと言ったところでしょうか

南東向きの斜面は比較的肥沃で粘土質が混ざり、適度な保水性があります。
夏から秋の日照によく恵まれ晩熟の区画になっていますが、酸を失うことなく熟するのがグランクリュたる所以なのでしょう


今日のワインの原料であるミュスカですが、このブドウは広くマスカットの仲間として知られています
沢山の亜種がありますが、イタリアのモスカートも同じ仲間です。

ゲヴェルツトラミネールにも似た甘い複雑な香りがあり、甘口にもなりますが、今日のワインは辛口です。

ウンブレヒトでは二つのミュスカを植えていて、
ミュスカ・ブラン・ブティ・グランという(一般的にミュスカと言うとこれを指し、大抵ミュスカ・ダルザスと呼ばれています)品種を90%と、
ミュスカ・オトネルという品種を10%使用しています

クチナシや白ユリ、ジャスミンの様な白い花の香りが特徴的で、甘い香りから甘口を連想するかもしれません

実際に遅摘みの甘口や貴腐ワインもありますが、繰り返しになりますけど、今日のワインは適度な酸がちゃんとあるので甘くないんだな、これが
ブドウが完熟していても酸を失っていない、と言うのがこの偉大なグランクリュの成功する要因だと思います

ビオディナミで発酵も人工的な操作は一切行わないので、発酵が終了するのに一年以上かかる事もあるそうです

一年って…うっそでしょ
こういう話よく聞きますが、生産者は平気なんですよね…
てんちょなら、気が気じゃないっていうか、そんな気長に待てませんがな

いや、それでもワインは非常に良いのです
アロマや酒質の厚みは十分ですが、余韻の爽やかな印象で、本当にバランスの良い辛口に仕上がっていて非常に美味しいです

これが5000円以下で買えるのは嬉しいです
繊細な和食に合わせるのもいいと思います〜

香りの甘さが邪魔になる懸念はありません、ゲヴェルツだとちょっと過剰かなと思いますが、このミュスカならば大丈夫
冬の鍋料理にも良さそうですよ〜








posted by cave MITSUKURA at 18:01| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする