2023年05月14日

塩味のある独自品種


雨続きです
今年の梅雨はどうなんでしょう??


えー、今年も残念なお知らせ
ルイ・ジャドは2023年もボジョレー・プリムール及びマコン・ヌーボーの新酒の生産はしないそうです

えー
そーなの???

ガーン・・・



では、数回前のセミナーの内容紹介と共に、チリの新しい注目産地を紹介します

コンチャイトロサンライズ カベルネソーヴィニョンが日本で最も売れているワインとして紹介されたのが、10年くらい前でしょうか?
それ以前から、ハズレの無い安心のお手頃価格ワインの産地として不動の地位を築いていたチリ。

コンチャイトロ以外にもエラスリスエチュヴェリアサンタリタカリテラコノスル…等多くの人気銘柄がありますね。
これらの大手企業は概ね首都サンチアゴ近郊、セントラルバレーと言われる地域にあります

この中でおそらく一番有名なのがマイポバレーでしょう
そして、ラペルバレー、クリコバレー、マウレバレーと知名度の高い地区が南に続きます ↓

chile-map-15.jpg
新世界ワイン事典より

一年を通してほとんどが晴れだという日照に恵まれたチリ、それ故ヴィンテージの差があまりなく常に一定の品質でワインを供給できる強みがあります

南北に細長い国土は西に太平洋、東にアンデス山脈があり、どの地域を切り取っても東西に海、丘(平地)、山と3つの構成が並んで見られます。

climate.gif
同上

こういう国土は珍しいですね

さらに「寒流のフンボルト海流は、最高気温を抑制し、最低気温を保つ緩衝材として重要な役割を担っている」と元コス・デストゥルネルオーナーのブルーノ・プラッツさんは言っています。
これが今の温暖化がすすむワイン産地の中では非常に重要になっています。
より冷涼な地域へと畑を求めて拡大、移動するブドウ栽培地、チリはこの条件にうってつけなのです

古木を尊重してきたチリには樹齢の高い区画が多く、良好な気候条件や白亜の土壌に目をつけたヨーロッパ人はこの30年程、沢山の著名人がチリへと進出して来ました。
上記プラッツさんもその一人、ポール・ポンタリエさんとワイナリーを起こしたのが1990年代初頭。
(因みにチリへの先駆者はミゲール・トーレス)

既に、安旨ワインの地位を不動のものにしてるチリに在って、新しい切り口は高級化へのシフトチェンジだと考える彼らは中央の産地ではない南北の周辺地域へと目を向けます
これは古参の地元大手企業も同じ。


まず、北での注目産地は、コキンボ地区にあるリマリバレーです

ここは降水量が少なく大変乾燥した地域で、その北にあるエルキバレーの北はもうアタカマ砂漠でブドウ栽培は出来ません。

雨が少なく海風が強いこの地区の土壌は炭酸カルシウムを多く含むチョーク質土壌です。
この土壌はヨーロッパ品種に最適なので、新しく進出したワイナリーはみんな、これまで植えられていたパイスを抜いて、ボルドー品種に植え替えています
(パイスは15世紀のスペイン人がもたらした黒ブドウで、バルクワインやピスコという蒸留酒の原料になります。乾燥に強いのでチリではかなり多く栽培されていましたが90年代にはカベルネ等に首位の座を奪われています)

また、この土地の土壌にはが含まれるので、栽培するブドウにも塩化ナトリウムが含まれていることが分析で分かっています
塩害があるので野菜には向かないだろう土地です。

うーん、塩味か。
確かに白ワインには僅かな塩味があるような…
(少ない塩は旨味でもありますが)
なので、塩害に強いボルドー品種は有利だと言う事でした。

冷涼で乾燥したリマリのブドウはアルコール度数が低めで、酸の綺麗なワインを作るのには欠かせない、と言うのが定評の様です


セミナーで試飲したリマリのワインもどれもとても美味しかったです

その中の一つを紹介します

コンチャイトロ pedro_jimenez_l.png

コンチャイト カッシェロ・デル・ディアブロ ペロド・ヒメネス2021

この白ワイン、非常に良かったです
夏向きの軽めの辛口、ヴィーニョ・ヴェルデみたいによく冷やして楽しみたい。

ペロド・ヒメネスという品種に聞き覚えがある方はそれなりにいらっしゃるでしょう。
スペイン南部のアンダルシア地方でシェリーの原料になるブドウがペロド・ヒメネスですよね

でもね、これ、違うんです

何が違うかって、
スペインのブドウは、Pedro-Ximenez
チリのブドウは、Pedro Jimenez

スペルの違う別のブドウなんです〜
チリのペロド・ヒメネスは、マスカット・アレキサンドリアとパイスとの交配品種です

リマリ産の塩化ナトリウムが含まれる果汁です(もちろんワインにもあるらしい)、穏やかな酸味がワインの印象を丸くしています
ライムやレモングラスの様な爽やかな香り、余韻の短い軽い味わいで非常にフレッシュです

畑はとても荒涼とした場所にあります ↓

コンチャイトロ リマリバレー25228-full-1.jpg
HPより

サボテンのトゲトゲが乾燥具合を物語ってますね〜

てんちょ、こういう、ここにしかない品種の味、が大好きです
シャルドネやカベルネがダメじゃないけど、こういうチリにしかない、っていうワインの方に魅力を感じます。

大橋さん曰く「ぐびぐび飲める」ワインです、賛成〜

お値段も非常にお手軽
1500円以下で買えます。

リマリバレーのペロド・ヒメネス、来週入荷するので是非お試しいただきたいです










posted by cave MITSUKURA at 14:10| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする