梅雨の合間の晴ですが、気温が30度になるとやはり暑く感じます

また、南方の海上では
また台風が発生してるみたいですね、来週のティエノのセミナーは無事に開催したい〜
ちょっと勤務の関係でブログ書けませんでした。
6月もワタワタと過ぎていきそうな予感

昨日は業界向けのセミナーに出席してきました

セミナーは
ドイツ、ファルツ州のベルンハルト・コッホです

ミツクラの店頭には今、
リースリング・ゼクトと赤の
カベルネドルサ(ドイツの交配品種でドルンフェルダー×カベルネソーヴィニヨン)があります

美味しいですよ。
講師はコッホで10年も醸造責任者(ケラーマイスター)を務める
坂田千枝さん(日本人)でした。
通訳が要らないので話が早くていいですね

勉強になるお話、いいお話が沢山聞けました

皆様、ドイツの
ファルツ州はご存知でしょうか?
ワイン法的に言えば、ドイツ国内に13か所ある指定栽培地域(
BA=Bestimmte Anbaugebiete ベシュティムテ・アンバウゲビーテ)の一つで、ドイツでは
2番目に大きな産地です。
(一位はラインヘッセン)
このBAはフランスのボルドーやブルゴーニュ、と言った大きな産地に当たります。
ドイツのワイン法は2009年、2021年と市場のニーズに合うように改正されています。
甘口よりも辛口、甘さの等級よりも産地や区画の詳細な指定が重視される昨今のワイン市場には、アウスレーゼやシュペトレーゼといった旧態の分類では間に合わなかったのです。
しかし、VDP、クラシックやセレクションなど、いまいち全体像が分からないし、ややこしくなっただけ(複雑と言えば聞こえはいいが)な気もする

今日はワイン法には立ち入りませんが。
ファルツ州はドイツの西部にある産地で、南にはアルザスと国境を接しています ↓

wine of germanyより
ファルツは、ドイツ国内では
温暖で年間降水量もほどほどな
地中海性気候なので、ブドウ栽培以外にも農業に向いた地域です

さらに黄土主体にシルトが入り、石灰質を含む土壌が多く、国際品種の栽培に最適であることも大きな産地に発展している要因です

多くの畑が
平地にあり、機械と手作業を効率よく組み合わせられる利点があり、それが土壌の相性の良さも手伝って、多くの生産者が自社で沢山の品種を育てていることにもつながっています

紅葉する畑が区画(品種)ごとに色違いになっていて美しい風景です ↓

コッホSNSより、手前の二つの大きな建物が醸造所とセラーです
ベルンハルト・コッホは州の南部の
ハインフェルド村にあります。
人口わずかに1000人程度の小さな村なんで、地図上で検索しても出てこない

ここ ↓

コッホで検索すれば出ます、流石
この村にあって、コッホは国際的にも知られた
優良生産者です

南ファルツを代表する作りてとして成長し、現在では自社畑50haにもなる一大企業です。
創業は1911年(自社醸造を始めた年)ですが、一族のブドウ栽培の歴史は1610年から記録がある歴史の長い農家です。
現在の当主のベルンハルトさんが10代で蔵を継いだ時には自社畑は3ha程だったそうですが、急激に成長しています。
今は二人の息子さんも参画しています。

輸入元HPより、右が坂田さん、二人の息子さんとベルンハルトさん
HPがドイツ語しかない…
ところで、
コッホのワインラベルには丸に十字が入って、上に突き抜けた矢印の様な
紋章が書かれていますが、↓

これは
ハインフェルド村の紋章なんだそうです

ベルンハルトさんの父親の時代まではコッホ家の紋章を書いていたそうなんですが、ベルンハルトさんは故郷のハインフェルド村を知ってもらいたくてこの紋章に変えたそうです
地元愛〜
さらに、コッホでは先述したように沢山の品種で、白も赤も、辛口も甘口も、スティルもゼクトも、色んなワインを作っているのですが、
これはベルンハルトさんが、
「どんな嗜好の人でも何か一つは気に入ってもらえるワインがあるように」と考えているから、だそうです

80年代、蔵を継いだ当時はドイツワインが売れない不遇の時代でした

それを経験しているからこそ、ベルンハルトさんは
常にお客さんの事を考えてワインづくりをしてるんだそうです。
良質のワインを作ることはもちろんですが。
良い時ばかりじゃなかったヨーロッパワインの過去、苦労もしてる方が報われるのは傍目にも嬉しい

試飲は8種類 ↓

飲んだことある銘柄もありましたが、本当に全部美味しいです

お値段も2000円台からとお試ししやすい。
いいピノノワールは流石にちょっと値が張りますが、それでも6000円〜8000円台です。
それぞれの解説はものすごく長くなるのでやめますが、個人的に興味深いと思った話をひとつ。
シルバーナーという品種は知ってますか?
オーストリア生まれのこの白ブドウはドイツでもお馴染みで、今は
フランケンでよく栽培されいます

たいていのフランケンの白のトロッケンは、さっぱりした辛口ですが、
なんと、
シルバーナーって酸が弱いんだそうです

えー、そうなの

なんか意外…
かなり
切れのある辛口白しか知りませんよ。
アルザスでも優しい印象じゃないけどなぁ…
本来のシルバーナーは酸が低くまろやかだそうで、栽培に関しても樹勢が強く、土壌を選ばないために
収量過多になりがちなんだそうです

そこで、酸を保全して質を高めるためにも半分くらいは房を落として低収量にしないといけない、とのこと。
この「どこでも上手く栽培できる」のはいい事なんですけど、それ故にかつての70年代のドイツでは栽培の
トップがこのシルバーナーで、30%を占めていたそうなんです

(80年代になるとミュラートゥルガウ、90年代にはリースリングへと変遷します)
なので、ドイツワインの生産者や古くからの飲み手には、
シルバーナーは懐かしい(そして古臭い)品種なんだそうで。
へー、
そうなんですか

知らなかった〜
酸が少ないっていのは未だに信じられませんね

昔、シュナンブランが酸が強いって聞いた時と同じくらいの意外さかも。
他にも、10数年前まではリースリングは辛口でも糖度を調整して出荷する(酸が強くて酸っぱいので補糖して甘くしてた)のが普通だったとか、伝統的な大樽は地元のブナの木で作られている、とか。
同じ赤でも、シュペートブルグンダーとピノノワールと、二つの名前を使い分けてる理由など、
とても書き切れないほどのお話があり、大変勉強になりました

今店頭にある二つ以外にも並べてみたいワインがありますので、また仕入れたら続きを書くつもりです。
そして、やはり
温暖化で栽培のサイクルや醸造の期間に変化が生じているドイツ。
寒冷なドイツは温暖化の恩恵を被っている方ですが、変えていくべきことが多いのは他産地と同じです。
これからも進化し続けるであろう、コッホ、是非飲んでみてください

posted by cave MITSUKURA at 17:23|
日記
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