10月最終日の今日。
2023年の新酒が入荷して来ました

その前に、皆様各国の新酒って何をご存知でしょうか?
世界中でその年のワインの販売が最も早いのは、チリ・アルゼンチン・ニュージーランド・オーストラリア・南アフリカです

そりゃー、南半球なので。
収穫が3月くらいなんです

ですが、これらの国では新酒というカテゴリーがちゃんと法整備されていません。
ニュージーランドは、ニュージー・ヌーボーという名前で新酒を販売してる所もありますが、独自の名称なんです

その点、ヨーロッパでは新酒の定義と法規制がちゃんとあります。
伝統に基づいた新酒を楽しむ習慣があったんです…
「あった」と過去形なのは、ヨーロッパでも新酒の販売は下火になってるから。
無くなった訳ではありませんけど。
オーストリアのホイリゲくらいでしょうか?、変わらず健在なのは。
最も有名な新酒はやっぱり、フランスのボジョレー・ヌーボーです

今年の解禁日は11月16日(毎年11月の第3木曜日)です。
フランスにはこれ以外にも、
マコン・ヌーボー
ミュスカデ・ヌーボーなど、色々あるんです。
法整備がされたのは1967年11月15日。
一度も見た事がありませんが、
タヴェル・ヌーボーや、
ガイヤック・ヌーボーなんてのも規定があります。
多分作ってない。
ガイヤック・ヌーボーなんて、赤はガメイのみになってる。
ガイヤックはシュッドウエストの甘口白ワインの産地です、ガメイなんて植えてないんじゃないの

そもそものガイヤックを飲んだ事ある人が少ないだろうし(美味しいですよ、歴史のある街なんです)
あと、意外ですけど、
ブルゴーニュ・ヌーボー(白のみ)という名称もあるにはある。
こういう「幽霊なヌーボー」、その後、見直されて今は違ってるかも

謎過ぎるな〜
次に有名な新酒はイタリアのノヴェッロでしょうか

何でもあり、売れれば勝ちのイタリア、販売日以外にこれと言った規制がないと言っても過言ではない。
(ちゃんとありますが

解禁日は昨日、10月30日です

2011年までは11月6日だったんですが、一気に2週間以上も早まった。
ボジョレー・ヌーボーよりも早く売ろうという戦略でしょうねぇ…
収穫も早く出来るイタリアなら可能ですし。
新酒の生産と販売には届け出と承認が必要なんですが、確か販売開始の1分前まで(夜中だよ)受付してたんだよな…
イタリアらしい

更に、前出のオーストリアのホイリゲ

主にウィーン近郊で作られ、これを出す居酒屋もホイリゲと呼ばれています。
ドイツ語の、Der Heuriger Wein(デア・ホイリガー・ヴァイン)=今年のワイン、から来ています。
法規制ではないんですが、解禁日は伝統に則り、セント・マーティンの祭日である11月11日となっています。
産地や品種についても同じく法規定がないのは意外です

良心任せ。
ですから、産地表記が無くてヴィンテージのみ記載されていればOK.
赤も白もありますが、ゲミシュター・サッツ(混植)である事が多いでしょう

ドイツにも新酒はあって、ディア・ノイエって言いますが、ほとんど見ませんねー

スペインにも、ヌエボって新酒がありますけど、こちらも主流ではない。
こうした各国で新酒が下火になってる原因ですが、新酒は秋の収穫から数カ月で飲料になる訳で、
品質重視だとどうしても時間が足りません

熟成もしていない若いワインですし、味も軽やかで単調になりますので、成熟した現在のワインマーケットには向いていないのが大きな一因だと思われます

もうがぶ飲みの時代じゃない。
それでも、美味しい新酒はちゃんとあります

では、今年最初の新酒を紹介します


ファルネーゼ ファンティーニ ノヴェッロ2023

一日遅れて今日から販売してます

アドリア海に向かうアブルッツオ州から届いた新酒です。
ぶどうは、サンジョベーゼとモンテプルチャーノ 比率不明
テッリ・ディ・キエーティIGPです
キエーティなんて聞いた事ない方が多いのでは。
ここです ↓

このノヴェッロは、フランスのボジョレー・ヌーボーと同じ、マセラシオンカルボニックで作られています。
発酵は僅か4日という短期間ですが、毎年結構な濃厚さがあります。
エッジは紫ですが、いつも外観が黒い
更にフルーティさとまろやかさが同居しています

マセラシオンカルボニックなのにアルコール度数が13%もあるし

流石イタリア。
暑い夏が約束されてるお陰でブドウは完熟するし、早く収穫する事が可能なので、温暖化はノヴェッロにとっては良い事なんですが

色んなノヴェッロがありますけど、このファルネーゼは人気が高いです

ブドウの品質がいいのが良く分かりますよ。
毎年同じ、新聞のラベルです

さて、今年の味は?