北日本の雪が別世界に思えるような快晴の名古屋です

暖かい昼間。
昨日、南アのセミナーに行ってきました

生産者はマリヌー


マリヌーワインSNSより
知ってますか?
マリヌーは2007年創業とまだ新しいワイナリーですが、南アフリカワインでは大変有名で高評価を得ている作り手です

蔵はご夫婦で運営してるんですが、昨日はご主人のクリフ・マリヌーさんが来日していました ↓

HPより
真摯な姿勢、人柄100点の素敵な方。
「スワートランドへ是非来てください」って。
そんな簡単に行けません

クリフさんは南ア出身で、ステレンボッシュ大学で会計学を学んでいましたが、ワインにも興味を持つようになって醸造学も副専攻し、そっちが結局本業になりました

奥様はカリフォルニア出身でUCデーヴィス校で醸造学を学んでおり、お二人はフランスで出会ったそうです。
世界のワイナリーをめぐって働き、南アで自分たちのワイナリーを立ち上げたのは前述したとおり2007年です

そこからわずか数年で、南アのワイナリー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、史上初の5回受賞を成し遂げました。
世界的にも非常に評価されていて、ワインエンスージアスト、ワイン・アンド・スピリッツなどで数多く表彰されています

まー、わたくし、誰かの点数には以前から全く興味ありませんし、受賞の数をネタにワインを売ろうとは思っていませんが

ただ、それだけ認められている、というのは歴然とした事実です。
マリヌーのワイン、今の輸入元になる前のエージェントで何度か扱って飲んだことありますが、
エントリーレンジの一番お手頃価格の物でもとても美味しかった覚えがあります

マリヌーのワイナリーはスワートランドにあります

南アの産地、分かってる方は少ないでしょうか。
南アフリカ共和国のワイン産地は、ほぼケープタウン周辺にあります ↓

南アフリカワイン協会より
うーん、詳しすぎて見づらいですね、とてもいい地図ですが
URL貼っておきます、見たい方どうぞ ↓
https://wosajapan.com/wp-content/uploads/2021/09/Western-Cape-Winegrowing-Map.pdf
首都のプレトリアやヨハネスブルグはもっと北東に位置してます。
この地図には載せられないくらい遠く。
ケープタウンから近い喜望峰、ここで大西洋とインド洋が分かれる訳ですが、スワートランドは大西洋側にあります

(地図のピンク色の広い地域です)
全体で地中海性気候の南アフリカ共和国ですが、喜望峰より東のインド洋側では雨が多めで湿度が高いのが特徴で、カベルネやメルローに向いた地域になっています。
反対に大西洋側は海から冷たい風が吹き付け、小雨であることから大変乾燥しており、シュナンブランやシラーに向いているそうです。
なので、マリヌーではこの二つの品種、シュナンブランとシラーを中心に栽培しています

南アのワイン生産の歴史はとても長く、400年に亘ると言われています

15世紀終わりの大航海時代にはじまり、オランダ東インド会社の補給地となったケープタウン周辺でブドウが植樹され、1959年に初めてヨーロッパ品種でワインが作られたという記録が残っています

その後、17世紀の終わりにはフラン人の新教徒(ユグノー)が迫害を逃れて南アフリカに多数移住、これが契機になりブドウ栽培とワイン醸造が飛躍的に広がっていきました。
この時のフランス人は甘口のワインを作って輸出し、ヨーロッパではケープタウンの甘口ワインが大変な人気になったそうです

それと並び、ポートワインもたくさん作られるようになりましたが、このポートタイプのワインと甘口ワインを作る伝統は現在まで受け継がれています

(なので、南アには国際品種の中でもポルトガルのブドウが色々植えられています)
南アのワインは新世界=ニューワールドに分類されるのですが、チリやオーストラリア、アメリカと違って、こんなにも長い歴史があるって知ってました?
これが南アの強みでもあります

しかし、その後、戦争やフィロキセラ(害虫被害)によって産業は衰退、アパルトヘイトの禁輸もあって、長らくワイン作りはとても縮小してしまいます

そして、ようやくここ20〜30年前からの再生が始まるんですが、その時点で南アの大きな利点はブドウの樹齢が古い事でした

過去に植樹されて放棄されたブドウがあちこちに残っていて、これを受け継いだ新しい生産者は古木をとても大事にしています

こればかりは時間が必要な高樹齢のブドウ、南アではそれが最初からあったという恩恵がアドバンテージになってるのは間違いない。
現在でも南アでは古木の保護活動が盛んです。
マリヌーでも平均で35年以上のシュナンブランが沢山あります ↓

マリヌーワインSNSより
マリヌーのブドウはゴブレで仕立てられています

これにはちゃんと理由があるそうで、
1、ゴブレだと樹勢が抑えられ、木を小さくできるので強い海風からブドウを守ることができる
2、葉がかさのように広がり、ブドウを強い日差しから守ってくれる
とのことです。
スワートランドは乾燥に加え、強い日差しがいつも照り付けているそうで、如何にブドウを焼けさせることなく、酸を温存したバランスよい状態に保つか、はとても重要なんだそうです

完熟するのはいいことですが、やはり熟しすぎるとジャムみたいな甘ったるいぼやーっとしたワインになってしまうそうで、フレッシュさを持ったフィネスのあるワインにするには工夫も必要です。
温暖化はここでも大変。
また、マリヌーでは乾燥対策として、カバークロップ(ブドウ樹の間に生やす雑草やほかの植物の事)にも工夫しています。
南アの植物、フィンボス(フェンボス)というのを近くの山からとってきて植えてるそうで、そうするとその木についている昆虫も一緒に移動してきてくれて害虫を食べてくれるので、害虫駆除の手間がかからず助かっているそうです


同上、庭園みたい
しかも変わったことに、フィンボスではありませんが、ブドウ樹の間に生えてる雑草たち、ブドウが生育する時期になると抜かずにローラーで平らにならして、つぶしてしまうんだそうで。
土壌の乾燥を防ぎつつ、ブドウ優先にする方法なんだそうです。
起き上がってこないんだろうか?

昔、てんちょの祖母が「朝の4時に草取りしたのにもう夕方には新しいのが生えてる」って嘆いてました

雑草は舐めたらイカン。
きっと何回もローラーするんでしょうね。
土壌は主に3つ、花崗岩が崩れた砂質、鉄を含んだ赤い粘土質、岩が多く含まれる片岩のシスト。
(あとVTRでは、4つ目の土壌で石英=クウォーツもある、ってやってましたがセミナーでは言及なし)
この3つの畑でできるブドウをうまくブレンドして、マリヌーのワインは作られています。
高級品は土壌・品種単体の物もあります
で、試飲 ↓

一番下のクルーフストリートでもめちゃくちゃ美味しいです

これの白、シュナンブランの香りのボリュームはすごい

洋ナシやややバナナ、厚みのある味です。
2500円上代だって、最高ですね

赤はまだちょっと若いです。
ブレンドよりもシラー単体がいいですね

上のレンジは諭吉越えなんですが

フランスのローヌよりもシラーらしいかもしれない

香りがいいですね、とても複雑です、ロタンドンもちゃんとある。
最後の甘口、ストローワインも美味しかった

スワートランドでは貴腐はつかないそうで、普通に収穫したブドウを(遅摘みではない)陰干しして干しブドウにした物をゆっくり絞って甘い果汁を得る方法で作られています。
マリヌー人気もうなずけます

これを買うなら何かをやめなくちゃいけないのが悩むところだ。
いいセミナーでした、全てを書くとものすごく長くなるので端折ってますが。
急いで書いたのでちょっと変なことあったらすみません。
皆様も、マリヌー、飲んでみてください
