2024年05月19日

尾根のぶどう酒 アメリカから


雨が降り出しそうでまだ降っていない名古屋です
そのせいか、湿度がやや高い。



今日は有名ワインを紹介します
実は初めての入荷です。

IMG_3430.jpg

リッジ
左から、
コラトリス ピノノワール2018
ガイザーヴィル2020
モンテベロ2010


リッジをご存知の方は多いでしょう

リッジは、カリフォルニアサンタクルーズ・マウンテンにあるワイナリーです。

リッジfig01.png
HPより 以下同様

カリフォルニアでも高級ワインが多い、ナパやソノマがあるノースコーストの南に位置しています。
サンフランシスコを挟んで、北がノースコースト、南がセントラルコーストなのですが、サンタクルーズ・マウンテンは標高が高く冷涼で周辺地域とは異なる条件を備えているためにセントラルコーストには含まれず、独自のAVAを名乗っています

サンフランシスコ湾の外側にあり、かなり冷たい海風が吹く地域だそうです。
カリフォルニアって、南国のイメージですがサンフランシスコ周辺や北側はとても寒いんだそうです



リッジはカリフォルニアでもかなり古い起源をもつワイナリーで、1885年にイタリア系の医者のペローネ氏がモンテベロの丘陵の頂上の土地を買ったことに始まります。
ここが山の尾根であったことから、リッジRIDGE=尾根、と呼ばれていました

この時、建設されたモンテベロワイナリーのセラーや建物は今でも醸造所として使われています。
最初のワインは1892年です。

その後、1959年に所有者が変わり、リッジはスタンフォード研究所のエンジニア3人の共同経営となります。
驚くべきことに、彼らは本業の仕事を研究所でしており、週末にだけワイナリーへやってきてブドウを手入れしたり、収穫・醸造をするようなスタイルで、ある意味「行き当たりばったり」のワイン作りをしていましたが、ワインは連続で素晴らしい出来となり、1961年にはさらなる増産に向けてワイナリーを刷新したりしています

今では信じられないようなやり方ですね
そして、これは畑のポテンシャルの高さを裏付けることにもなりました

さらに1969年には歴史的な醸造家となる、ポール・ドレイパーがリッジに加わります
彼はそれまでのやり方を改め、計画性を持ったワイン作りを始め、新しいリッジを作り出すことに成功します
彼の作った1971年にモンテベロ(赤)が1976年の「パリ試飲会事件」で5位に入賞したことは大変有名です

天然酵母で手を加えないワイン作りが世界に知られることになり、その後のワイン醸造に大きな影響を与えています

リッジfig_contentid.jpg

このポール・ドレイパーさんもスタンフォード大学の出身です。
(哲学で学位を取得しています)

ソムリエの世界大会で「この人は誰?」と写真が出題されるほど、ワイン会では重要な人だと認識されており、2015年にはデカンター誌で「醸造家が選ぶ最も尊敬する醸造家」のトップ5に選ばれた。
2016年、80歳で引退しています。


日本でリッジが良く知られているのには、もう一つの理由があります。
それはオーナーが日本の企業だからなんです

リッジは1986年に大塚食品の所有となっています
ボンカレーやポカリスウェットで有名な、大塚です

てんちょも、もっと早く店頭に置きたかったんですが、何故かご縁がなかったんです
今回、ようやく扱えるようになって嬉しいです。


では、個別のワインを見ていきましょう

まず、
コラトリス ピノノワール2018

これはリッジが50年ぶりに作ったピノノワールで、この名称では2018年が初リリースとなっています
(過去にリッジは1971年に一度だけピノノワールを作っています)
サンタクルーズの町の西にあるコラトリスという地区で、かなり冷涼な気候でピノノワールに向いています。

概観は中々濃いめに見えますが、味わいはとてもエレガントです。
よくあるカリフォルニアの甘いピノノワールではありませんので、ブラインドで産地当てしてみると面白いかも


ガイザーヴィル2020

ガイザーヴィルはノースコースト、ソノマ群アレキサンダーバレーにある区画です。
1966年がファーストヴィンテージで、現在樹齢130年にもなる古木があります。
日照に恵まれながらも昼夜の寒暖差が大きく、ブドウには理想的な環境です。

この区画はジンファンデルをはじめとした混植で、カリニャン、プティシラー、ムールヴェードルなどが畑で「既にブレンド」されています。
アルコール度数14%越えで、凝縮したワインですが、口当たりは優しめ。
まだやや若いですので、数年熟成できれば完璧かも。

モンテベロ2010

リッジを代表するワインです
標高の高い急斜面に開かれた畑で、ここもかなり冷涼な環境です。
ほとんどが黒ブドウですが、一部シャルドネも植えられています。

モンテベロの赤は、カベルネソーヴィニヨンが主体のボルドーブレンドで、カリフォルニアの1級シャトーなどとも言われています。
セパージュは年によって若干違っており、2010年はカベルネソーヴィニヨン74%、メルロー20%、プティヴェルド4%、カベルネフラン2%です。
14年も経っているとは思えないほどの若々しい味わいですが、ゆっくり飲んで香りの変化を楽しむといいでしょう



最近のリッジは昔に比べると、色も赤くて透明で(前は真っ黒だった)、ずいぶんエレガントになったような気がします。
世界中のワイン全体で言えることでしょうが、「エレガントなワイン」が現在のトレンドでもあります。

カリフォルニアには色々と素晴らしいワインがありますが、リッジを飲まずして「カリフォルニアワイン観」は完成しないでしょう
是非、体験してみてください〜













posted by cave MITSUKURA at 14:42| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする