2025年01月12日
フルーティとはこれだ
店内が寒いのは毎年の事ですが、やっぱりボトルが冷たくて触りたくない
福袋はまだ沢山残っております
大当たりも、赤白シャンパーニュのどれも未だ出ていません。
シャンパーニュが一番多く売れていますが、クリュッグもベルエポックも他の高級品もまだあります
是非買いに来てください
では今日はこのワインを紹介します
ラ・リヴォルタ
タブルノ ファランギーナ・ディ・サンニオ2022
フィアーノ タブルノ・サンニオ2022
南イタリアの白ワインです
どちらもカンパーニア州の白で、DOCサンニオです。
エッチングの入ったボトルに、綺麗なラベルで好印象です
個人的に好きなデザインです。
中身もオススメですよ。
カンパーニア州にはナポリがあり、青の洞窟やヴェスビオ火山の傍らのポンペイの遺跡、アマルフィなど観光客にも人気のスポットが沢山あります。
行ったことある方も多いのでは。
治安が不安な地域ではありますけど
ワインとしては、赤のタウラージが人気でしょうか
タウラージはギリシャ伝来のアリアニコ種で作るフルボディの赤で、火山灰の堆積した山の区画にはフィロキセラがいないために自根の高樹齢ブドウが残る貴重な産地でもあります。
90年代の初めにアメリカで大人気になったことで世界からも注目されて、一気に生産者が増えました。
成功してる産地の一つです
今進行しつつある温暖化にどう対応するか、課題もありますが。
タブルノもサンニオもこのあたりの地名です。
ベネヴェントという町が大きく中心になってます。
今日のワイナリーのリヴォルタはここに在ります ↓
海からは50キロほど離れています
HPより、以下同様
ワイナリーですが、訪ねていくような雰囲気ではなく、本当に何もない場所です。
ビオロジックですし、それでいいと思います
リヴォルタとは「改革」と言う意味で、中世に農民が農地改革を訴え、大地主と戦い勝利したという醸造所のある地域の歴史に由来します。
オーナーのコトロネーロ家はここを200年も所有していましたが、1997年に現当主のパオロ氏がワイナリーとして復活させました
カンパーニア州の固有品種を大事にした個性豊かなワインが沢山作られています。
白ブドウはワイナリーの周辺に植えられており、
フィアーノ
ファランギーナ
グレーコ
コーダ・ディ・ヴォルペ
で4種のDOCサンニオを生産しています。
どれも南イタリア特有の品種です
今日の2つ、ファランギーナやフィアーノは、フルーティという形容がぴったりなブドウです
辛口の白ワインですが、ゲヴェルツのライチの様に果物の香りがはっきり感じ取れます
まさに白桃&マンゴー。
そしてくちなしの花の香り、金木星やユリの花の様でもあります。
アロマのボリュームは抜群に高く、この香りが感じられない人はいません
こうなると重要なのが酸味です
とにかく圧倒的な香りなので、酸っぱいワインが苦手な方や初めての方にはとっつきやすい事は間違いないです。
しかし、酸味が低いとダラーッと締まりのない味わいになってしまい、メリハリがなく飲み飽きてしまうのです
1杯目は美味しかったけど… ってことになってしまうかも。
南イタリアはとにかく暑いので酸をどうやって温存するか、が非常に重大な課題になっています
てんちょ、酸の弱い白ワインが苦手なのであんまりこういう品種には手を出しません
ですが、知っておきべきいいブドウである事は間違いありません。
その点、リヴォルタは上手にバランスを取っています
良く冷やして飲めばワインだけでも美味しく楽しめます
どちらも有機栽培で、発酵も熟成もステンレスタンクで行っています、清涼感を維持するためにもそれがいいと思います
フィアーノの方がよりフルーティかなぁ
これは好みにもよるでしょうね。
今日のワインではなくて恐縮ですがちょっとヨコの話。
てんちょ、ワインは入手できませんが(リヴォルタでは輸入がない?)、
もう一つの固有品種のコーダ・ディ・ヴォルペを観賞用に植えてみたいと思ってます
多分これ
コーダ・ディ・ヴォルペとはキツネのしっぽと言う意味で、しっぽの様に長い房を持っている白ブドウなんです
50センチ以上にもなるこのブドウは、房の中で均等に成熟しないことが多いので、下と上の半分に分けて2回収穫する作り手もいるほどです。
見た目が100点ですね
でも実はワインとしては、フィアーノやファランギーナの方が人気があると思います。
南イタリアのワインは夏向きかと思いますが、お手頃で親しみやすいので、未体験の方は是非飲んでみてください〜
2025年01月11日
2025年01月09日
冬こそ黒ワインを
岐阜県の北部や北陸では大雪になってるようですね
名古屋は平穏に晴れていますが、明日は雪がチラつく地域もあるかもしれないとの予報です。
店頭にはデュジャック2022が入荷してきました
ネットショップにも掲載しました。
割り当てでいつも通りの少量ですが、やっぱり高い…
ある内に買ってください〜
今日はこのワインを紹介します
シャトー・ブスカッセ2018
黒いラベルが荘厳なイメージ
フランスの南西地方(シュッド・ウエスト)のAOCマディランです
タナ60%、カベルネフラン25%、カベルネソーヴィニヨン15%
シャトーとついていますがボルドーではありません。
シュッドウエストはボルドーの南にある産地の総称で、スペインとの国境のピレネー山脈からルションの西にかけて広がっています。
アキテーヌとピレネーと合わせてボルドーを除いた産地を包括してそう呼ぶのですが、中は細かな産地がいくつもあって、市場では馴染みが薄い名称が多いのが現状です
今日のマディランは比較的知名度の高い産地で、カオールのマルベックと並んで「黒ワイン」として知られる場所でもあります。
マディランの固有品種であるタナは、タンニンが強く骨格のしっかりしたフルボディの赤ワインになるので、外観が黒く如何にも凝縮したワインと言う見た目なので、黒ワインの名前が付きました。
(もちろん種別としては赤ワインです)
長期熟成が可能なワインであることも魅力です。
今では南米での生産が盛んで、ウルグアイでは国を代表する品種として盛んに栽培されています
しかし、温暖化が進んだ昨今ではタナ単体ではあまりに濃くなりすぎるので、カベルネフランやメルローをブレンドして、その凝縮度を和らげるのが一般的になっています。
今日のシャトー・ブスカッセ(マディラン)はここです ↓
オーナーのアラン・ブリュモンさんは日本でもよく知られた生産者です
ハリウッドスターがヘリでワインを買いに来た、なんて宣伝されてましたね。
このお父さん、結構自由人で色んな話があるんです
今は御嬢さんもワイナリーの仕事をしています。
マディランの周辺は、フォアグラやキャビアの養殖が盛んで、正に美食の産地です。
一度行ってみたい〜
アラン・ブリュモンさんは、1980年にブスカッセから5キロほど離れた場所のシャトー・モンテュスを購入してワイン業を始めています。
ボルドーの陰に隠れたマディランのポテンシャルを早くから見抜いていた人です。
実はブスカッセの方が生家で古いのですが、彼を有名にしたのはモンテュスの方なのです。
他の生産者がやらないような栽培を試したり、国際市場で勝負できるワインのスタイルを研究したり、既存のワインに囚われない方法が大成功して、マディランの名前を一躍有名にしたのはアラン・ブリュモンさんの功績です
1997年にはレジオン・ドヌールを受賞するなど、その功績は高く評価されています
もちろん、生家のブスカッセもそのままではありません。
蔵を継いだ1979年当時は17haしかなかった自社畑は、今では120haにも広がりました。
この地の伝統的な農業であった混合農業(畜産と農業を両方行う)を、ブドウ栽培だけに特化させています。
HPより
セラーも刷新
今日のワインは濃いながらも非常に洗練された1本です
フレンチオーク樽で18か月熟成させた、まろやかな赤ワインですが、飲み飽きないコクがあって美味しいです。
濃いワインが好きな方には是非お勧めです
大きなグラスでグルグル回しても大丈夫です。
冬向きのワインですね。
価格もそこまで高くないので、試しやすいかと
タナと言う品種、是非体験してみてください。
2025年01月07日
安息の地に着いた流浪のメゾン
再び晴れの名古屋です
昼間の気温は二桁ありそうで、やや暖かい?
普段の生活に戻って、きっと今年もあっという間に終わるんでしょうね
今日はこの有名なワインを紹介します
ランソン ブラック クリエーションNV
シャンパーニュです
赤いマルタ十字に見覚えのある方も多いのではないでしょうか?
老舗のメゾンですし、日本にも何十年も前から輸入がありました
でも、このランソン程、「損してる」シャンパーニュはないかもしれません…
ランソンは、1760年創業です。
創設者はドラモット、あのサロンの姉妹メゾンのドラモットです
フランソワ・ドラモットは創業以前に、アイのワイン商の御嬢さんと結婚しています。
それを機にシャンパーニュを商売とするようになり、自分のメゾンを立ち上げたのです。
彼らには3人の子供があり、その内の二人の息子が1790年に商売に参加します
長男のニコラ・ルイがマルタ騎士団の一員になったことで、マルタ十字の紋章がランソンの物となります
騎士の位を持ったニコラ・ルイですが、騎士団はその後ナポレオンに侵攻されてマルタ島を追い出されてしまいます。
そうして彼はシャンパーニュへ戻り家業を継ぐのですが、1828年にランソン氏を共同経営者とした後、死後に社名をランソンとしたのが1837年の事です。
この時点でドラモットと分かれたのですが、その後も大手の買収劇が繰り返されるのはどこも同じ
19世紀の内にイギリス王室のロイヤルワラントも取得して、確固たる地域を築いたランソンです。
家族経営を続け、ランス郊外に立派な邸宅と醸造所を建て、今でも訪問することが出来ます
HPより、お庭も素敵なんです
さらにその後、蔵は繁栄して、シャンパーニュ以外の商売も手掛けるようになるのですが、残念な事に20世紀の終わりにはランソンは資金繰りが立ち行かなくなります
2005年ころかなぁ、アメリカの投資会社(所有するホテルだけが目当てでシャンパーニュには興味なし)に買収されて家業はばらばらになります、シャンパーニュ部門だけを大手のグループに売却されたことでランソンは自社畑も喪失してしまい、さらに短期間で組合へと売却され、まるで流浪のメゾンの様。
代々の歴史を紡いできたランソンも、当時のご当主がお亡くなりになり(かなりの失意だったようです)暗黒時代になってしまいます。
この辺りの事は今のネット情報ではほとんど書かれていませんねぇ
まぁ、嬉しい話ではありませんので、ごもっともかも。
さて、てんちょが知るようになった1995年頃のランソンは、老舗の有名銘柄であることはよく知られていましたが、スーパーマーケットで安売りされちゃってましたので、有り難味が低いというか残念な印象ではありました
うーん、もったいない
どうもこの印象と、その後の「たたき売り」のせいで、ランソンと言う銘柄は軽く扱われてきたんじゃないかなぁ…
と思います
どうでしょう?
違う??
しかし、ちゃんとランソンは復活しています
2006年にボワゼル・シャノワーヌグループに再度買収されたのち、再び自社畑も増やし生産を拡大しています
このグループ、シャンパーニュでは3本指に入る生産量を誇る一大グループです。
アレとかアレみたいに、どんどん大手の買収が仕掛けられて、まるでマネーゲームになってるような昨今のワイン業界ですので、それにはもろ手を挙げて賛成はできませんが、品質が向上したり、労働者の環境が良くなるにはいい事です
さて、今日のシャンパーニュは、ランソンで最も基本となる1本です
ピノノワール 50%、シャルドネ 35%、ピノムニエ 15%
2018年のワインが主体になっています(68%)
ランソンはMLFをしないメゾンとして知られていますが、一部のキュヴェでは行ってるようです(25%)
瓶熟は最低48か月
デゴルジュマンは2023年12月
裏ラベルに情報が記載されています ↓
(が、輸入元のシールが邪魔かも)
ヴィクトリア女王にも愛されたというシャンパーニュ
2013年からは新しいセラーマスターが就任しています。
基本の1本として飲んでおくべきシャンパーニュです
「昔飲んだ事がある」では到底シャンパーニュ通とは言えませんよ
そして、「知ってる」だけで大口をたたく人がいますけど、みっともないからやめなはれ
ランソンは上級キュヴェも非常に美味しいのです。
ノーブルキュヴェが嫌いって言う人はいないだろうと思います
飲めば分かる〜
2025年01月06日
2025年01月04日
お手頃ですが侮るなかれ
2025年は本日より営業開始です
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
明後日からお仕事の方が多いでしょうか
街も車は少ないようです。
皆様、新年最初のワインは何でしたか??
福袋は1月11日(土)12時から販売いたします
去年と同じ税込み6000円
クレジットカード、電子マネーでのお支払いもOKです。
当たりワイン等、詳しくは6日の月曜に再掲します
やっぱりブルゴーニュの赤白は厳しいですねぇ…
シャンパーニュがたやすい訳ではありませんが…
さて、福袋とは無関係ですが、新年最初はこのワインを紹介します
セグラ・ヴューダス ブリュット・レゼルバ2021
ボトルに記載の通り、スペインのカヴァです
ここは老舗で、ずいぶん昔から日本へも輸入がありますので、古いワイン愛好家の方なら御馴染みかもしれません。
ラベルがかっこよくなって、とても印象が良くなりました
見た目は重要。
では、カヴァについて基本的な事をおさらいしましょう。
スペイン語でスパークリングワインの事をエスプモーソと言います。
カヴァはその内、製法や品種などを守ったものに与えられる名称ですが、スペイン産のスパークリングワインはほとんどがカヴァと言っても良いくらい、カヴァだらけです
しかも、ヨーロッパワイン法ではワインの名称が基本的に産地に対して与えられるのに対して、カヴァは製法に与えられると言う特異な側面を持っています
産地の9割がバルセロナ周辺のカタルーニャ地方なのですが、リオハを流れるエブロ川の流域やカセレスのあるエストレマドゥーラ等、他地域でも少量、生産があります。
現在ではサブゾーンの認定があったり、細分化されて品質管理も厳しくなってはいますが、やはり瓶熟9か月を守れば認定されてしまうので、残念ながら市場には品質的にイマイチなカヴァも多いのが現実です
そうした玉石混淆な状態を嫌って、2019年に有志6人が集まり高品質のエスプモーソを作り、新しくコルピナットと謡って生産販売を始めてました
彼らはカヴァを脱退、新しいコルピナットという名称でカヴァとは一線を画したスパークリングワインを生産しています。
しかし、日本でもちらほら見かけますが、やや高いせいか、そこまで浸透してはいないかもしれません…
コルピナットを名乗らないまでも、高品質のカヴァを作る会社はいくつもあります
今日のセグラ・ヴューダス然り、ロジャー・グラート、カヴァを敢えて名乗らないラベントス・イ・ブラン(カヴァの始祖です)等。
では、セグラ・ヴューダスのお話。
ここは老舗のワイナリーで、カヴァの中心地でもある、カタルーニャ地方のサン・サドルニ・ダノイアにあります。
ここ ↓
ここのセグラ・ヴューダスの建物は10世紀にまで遡ることが出来る貴重な建造物です
重要文化財だわ。
元は修道院が所有していたそうで、レコンキスタの時代には要塞にもなったらしい。
外壁には当時の戦闘での縦断の跡が残っています ↓
HPより
平安時代からあるんですねー、流石の石造り。
その後、12世紀には農園となりブドウ栽培を始めています。
そして第二次世界大戦後に現在のセグラ・ヴューダスの所有になっています。
日本語のHPあります
カヴァはその起源がはっきりわかっている数少ないワインです
19世紀の終わりにシャンパーニュに修行に出かけたラベントス氏が帰国してカヴァを作り始めます、瓶内二次発酵のスパークリングワインは非常に評判が良く、色んな生産者が増えていきました。
そしてそれから100年後の1972年にカヴァとしての名称を確立して現在に至ります。
セグラ・ヴューダスの最初のカヴァは1969年産です。
この時のブリュット・レゼルバ・エレダードは今でも蔵のフラッグシップとして生産されています ↓
HPより
かっこいいボトル、瓶熟24か月以上の本格派です。
今日のボトルは蔵のスタンダードと同じデザインですが、エレダードに倣ったボトルで素敵です
一番ベーシックなカヴァはNVですが、
今日のは「レゼルバ」で「ヴィンテージカヴァ」です
レゼルバは瓶熟が18か月以上の物でないと名乗れません。
ヴィンテージは良年のみの限定生産で、瓶熟30か月以上に耐えうるブドウのみを使用するという厳しい基準を設けています。
マカベオ、パレリャーダの2種のスペイン品種で作られています
軽めの圧搾でブドウのエキスだけを慎重に取り出し、12ものベースワインを醸造した後で瓶熟に入ります。
ドサージュに使用するのは同じく醸造・樽熟した白ワインで、糖分を一切加えていないこだわりの辛口に仕上がっています
この手間暇かけた貴重なワインですが、今だけ非常にお買い得な価格になっています
この値段を見て、躊躇する人はいないでしょう
って、こんなにちゃんとしたカヴァをあんまり安売りしたくない、かも
本当に、安物と一緒にされそうなのが嫌。
ブドウ品種がスペインなので、シャンパーニュとは全く違う香りですが、繊細さや余韻の長さは納得の高品質です
カヴァの良さが分かります。
シャンパーニュは確かに素晴らしい飲み物ですが、全ての産地がシャルドネやピノノワールにならなくてもいいはずです。
てんちょ、そこにしかない固有の品種が好きです
そういう物を大事にしてほしいですね。
そういう点ではこのカヴァは称賛されるべき、良いワインに違いありません
ぜっひお試しください〜