2025年01月07日

安息の地に着いた流浪のメゾン


再び晴れの名古屋です
昼間の気温は二桁ありそうで、やや暖かい?

普段の生活に戻って、きっと今年もあっという間に終わるんでしょうね




今日はこの有名なワインを紹介します

ランソン.png

ランソン ブラック クリエーションNV

シャンパーニュです

赤いマルタ十字に見覚えのある方も多いのではないでしょうか?
老舗のメゾンですし、日本にも何十年も前から輸入がありました

でも、このランソン程、「損してる」シャンパーニュはないかもしれません…


ランソンは、1760年創業です。
創設者はドラモット、あのサロンの姉妹メゾンのドラモットです

フランソワ・ドラモットは創業以前に、アイのワイン商の御嬢さんと結婚しています。
それを機にシャンパーニュを商売とするようになり、自分のメゾンを立ち上げたのです。
彼らには3人の子供があり、その内の二人の息子が1790年に商売に参加します

長男のニコラ・ルイがマルタ騎士団の一員になったことで、マルタ十字の紋章がランソンの物となります
騎士の位を持ったニコラ・ルイですが、騎士団はその後ナポレオンに侵攻されてマルタ島を追い出されてしまいます。
そうして彼はシャンパーニュへ戻り家業を継ぐのですが、1828年にランソン氏を共同経営者とした後、死後に社名をランソンとしたのが1837年の事です。

この時点でドラモットと分かれたのですが、その後も大手の買収劇が繰り返されるのはどこも同じ

19世紀の内にイギリス王室のロイヤルワラントも取得して、確固たる地域を築いたランソンです。
家族経営を続け、ランス郊外に立派な邸宅と醸造所を建て、今でも訪問することが出来ます

ランソン1.png
HPより、お庭も素敵なんです

さらにその後、蔵は繁栄して、シャンパーニュ以外の商売も手掛けるようになるのですが、残念な事に20世紀の終わりにはランソンは資金繰りが立ち行かなくなります

2005年ころかなぁ、アメリカの投資会社(所有するホテルだけが目当てでシャンパーニュには興味なし)に買収されて家業はばらばらになります、シャンパーニュ部門だけを大手のグループに売却されたことでランソンは自社畑も喪失してしまい、さらに短期間で組合へと売却され、まるで流浪のメゾンの様。

代々の歴史を紡いできたランソンも、当時のご当主がお亡くなりになり(かなりの失意だったようです暗黒時代になってしまいます。

この辺りの事は今のネット情報ではほとんど書かれていませんねぇ
まぁ、嬉しい話ではありませんので、ごもっともかも。

さて、てんちょが知るようになった1995年頃のランソンは、老舗の有名銘柄であることはよく知られていましたが、スーパーマーケットで安売りされちゃってましたので、有り難味が低いというか残念な印象ではありました

うーん、もったいない

どうもこの印象と、その後の「たたき売り」のせいで、ランソンと言う銘柄は軽く扱われてきたんじゃないかなぁ…
と思います
どうでしょう?
違う??

しかし、ちゃんとランソンは復活しています

2006年にボワゼル・シャノワーヌグループに再度買収されたのち、再び自社畑も増やし生産を拡大しています
このグループ、シャンパーニュでは3本指に入る生産量を誇る一大グループです。

アレとかアレみたいに、どんどん大手の買収が仕掛けられて、まるでマネーゲームになってるような昨今のワイン業界ですので、それにはもろ手を挙げて賛成はできませんが、品質が向上したり、労働者の環境が良くなるにはいい事です

さて、今日のシャンパーニュは、ランソンで最も基本となる1本です

ピノノワール 50%、シャルドネ 35%、ピノムニエ 15%
2018年のワインが主体になっています(68%)
ランソンはMLFをしないメゾンとして知られていますが、一部のキュヴェでは行ってるようです(25%)

瓶熟は最低48か月
デゴルジュマンは2023年12月

裏ラベルに情報が記載されています ↓
(が、輸入元のシールが邪魔かも)

ランソン backlabel.jpg

ヴィクトリア女王にも愛されたというシャンパーニュ
2013年からは新しいセラーマスターが就任しています。

基本の1本として飲んでおくべきシャンパーニュです

「昔飲んだ事がある」では到底シャンパーニュ通とは言えませんよ
そして、「知ってる」だけで大口をたたく人がいますけど、みっともないからやめなはれ

ランソンは上級キュヴェも非常に美味しいのです。
ノーブルキュヴェが嫌いって言う人はいないだろうと思います

飲めば分かる〜







posted by cave MITSUKURA at 17:53| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする