2025年04月26日

とにかくお値打ちなのは間違いない


今日から11連休の方、いいですね〜
GWの最初は晴れ続きでお出かけ日和ですね


カーヴミツクラはお休みありません
毎日12時〜20時で営業しております

まだ4月の内ですが、5月も早々と終りそう…



店頭には、ミッシェル・マニャンのバックビンテージが少量入荷しております

オンラインショップからもご覧いただけます ↓

https://cavemitsukura.com/?s=%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A3%E3%83%B3&post_type=product

今、税込みで1万円以下のジュヴレイ・シャンベルタンって、まずないと思います
スヴレオー・エシェゾーも、村名区画ではありますが、ブルゴーニュワインは村名であってもリューディ(区画)をラベルに記載すると1級と同じ制限を受けますので、収穫や醸造は1級と同じになります


因みに、この二つの区画がどこにあるか分かりますか?
ここです ↓

ミッシェル・マニャン.png

どちらもシャルム・シャンベルタンの下部
シャルム・シャンベルタンのすぐ南はモレサンドニで、コンボットを挟んで特級クロ・ド・ラ・ロシュに続いています


他にも、これは前からありますが、1級カズティエが16500円とか、今の他ドメーヌの仕入れ値よりも安いかも

特級シャルム・シャンベルタンが3万円とチャリンですよ
今、グランクリュは安くても8万円はします(大抵は6桁)ので、半額以下だよ


ミッシェル・マニャンはすでに息子のフレデリックさんが全て仕切っています。
ご近所のドメーヌのレミ・スガンを助けてたり、ネゴスのフレデリック・マニャンも継続していますので、めちゃくちゃ忙しいと思います。

現在、自社畑はビオディナミ。
一部の熟成にはアンフォラを使用しています。

甕、これねー、実際どうなん??
みーんな今甕やってますね

少し前に来日してたけど、名古屋には来なかったです


そういえばミッシェル・マニャンを「最近の人って現地で聞いた」バカにしてる人が最近いましたけど、ちゃんと飲んでみたまえ
確かにこの「モダンなスタイル」は好き嫌いが分かれるかもしれません。
てんちょ、実はモダンなのがあんまり好きではありません

しかし、マニャンは非常に美味しいです

外観は黒め、ピノノワールには透明感を求めたい私にはちょっと警戒するような濃さですが、味わいはチャーミングでまろやかです
やはりエレガント、カリフォルニアみたいな甘いだけのワインじゃありません。

ふくよかで余韻も長い、18年なら多少は複雑さが出てきてるのではないかと思います
今買って後3年待つ、っていうのが最良かも



…今日は他の事を書くつもりで、ついでにマニャンを紹介しようと思っていましたが、期せずして長くなってしまった。
また明日〜










posted by cave MITSUKURA at 14:09| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月24日

トップ・ロゼ


すっかり初夏の陽気になってます
早すぎませんか。


今週はセミナーにいくつか参加できました。
内容の報告はまた後日にします



今日は新ヴィンテージが入荷してきた、このワインを紹介します
前回のヴィンテージは一瞬で完売してしまいました。

IMG_4342.jpg

ブリュノ・クレール マルサネ・ロゼ2023

フランス、ブルゴーニュのロゼです。
ピノノワール100%

コートドールの村名で唯一のロゼです

他にあるロゼはみーんなレジョナルクラスなので、如何にこの存在が特異であるか、お判りいただけるでしょうか?

このロゼを作り始めたのはブリュノさんの祖父である、ジョセフ・クレールさんです。
彼はサントネイの出身でしたが、マルサネのマルグリット・ダユと結婚してドメーヌ・クレール・ダユの元になるマルサネの畑を取得した訳ですが、婚姻当初の1919年からロゼの生産を行っており、ロゼの歴史はもう100年以上もあることになります

今でこそ、フランスはロゼの消費が盛んで、当たり前のようにロゼが日常で飲まれていますが、100年前のブルゴーニュでロゼの可能性を考えていた人なんて皆無でした

シャンパーニュのロゼは高級品ですが、スティルワインのロゼにそこまでの価値はなかったのです。
ものすごい先見の明です

その後、ご夫妻はドメーヌ・クレール・ダユを設立しまして、クロサンジャックなどの銘醸畑を手に入れて拡大します。
順調な成長を遂げたドメーヌなんですが、良い時は長く続かず。
ジョセフ氏の死後、相続でもめてドメーヌは分裂して身売り、消滅してしまいました。
こういう話は珍しくない
お金は揉め事の元。

今、ばらばらになった畑を、孫のブリュノさんが自分のドメーヌを立ちあげて少しずつ取り戻しています。

famille-domaine-bruno-clair-2024.jpg
HPより、2024年の家族

ブリュノ・クレール.png
同上

ブリュノ・クレールはもう十分自分の評判を築き上げていますが、実際ここのワインは赤も白もロゼも非常に美味しいのです

それでも他の人気ドメーヌと同じく、価格の高騰が著しくて、もうそんなに気軽に買えるような値段のワインがなくなってしまっています
特級クロ・ド・ベーズはもう10万超えだー


さて、23年のロゼは昨年の22年に続いて赤いですね
去年のロゼも美味しかったです、今年も期待しています。

22年と同じく暑い年になった23年ですが、これまで試飲した感じでは22よりも23のほうが濃くて厚みがあるワインが多いです

気温だけを比較するとそんなに差異があるようには思えず、22年のほうが水不足になりがちだったことを考えても、ちょっと不思議な気がします
データからすると、反対じゃないの??

しかし、試飲の経験からは22年はよりエレガントで(比較すれば)細い酒質(21年がもっと繊細なので、もちろんそれに比べれば濃いですが)、23年はその上を行くパワフルさがあります

個人的には22年の「ニュークラシック」が好きですが、世間の受けは23年のほうが良さそう。

ピノノワール100%、1.27haの区画をロゼ用にしています
ブドウの半分は3,4日コールドマセラシオンして、半分はすぐに圧搾しています。
赤い理由はこの辺りにありますね。
発酵後、最近では10〜12か月樽熟成しています(新樽ではない)

ピノノワール由来の赤い果実の香りがストレートにします
そりゃ、美味しいでしょう。

てんちょ、まだ飲んでおりませんが


定価6050年もしちゃうこの高級ロゼですが、店頭ならもっとお値打ちです
津田さんでおつりきます

このワイン、飲んだことないとトレンドに乗り遅れてますよ
っていうくらい、興味深い1本ですよ。

是非お試しください〜






posted by cave MITSUKURA at 15:00| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月19日

ユニブランは焼くべし


暑い
表は30度らしい、半袖の人が多い。
いきなり夏になりました…


フランスでは萌芽から展葉に至る途中です ↓

IMG_4325.JPG
Gigondas Wine SNSより

個人的にジゴンダス好きなのです
いつもSNS見てます

今年のフランス各地は、やや遅い芽吹きのおかげか、霜害もなく順調なスタートです
それでも日本と同様に夏の暑さは確実、でしょうか…
今のところ、ではありますが良好です。
豊作プリーズ、たのんます



昨日のニュースで、フランスの大手コニャックメーカーのレミー・マルタンが報道されていました。

レミー・マルタン.png
HPより XOボトル

世界中を大騒ぎに巻き込んでるトランプ関税のせいで、先行きが不透明との理由で、レミー・マルタンではボトリングを一時的に中断する決定をしたそうです。

コニャックの主要な輸出先であるアメリカで18%前後の関税がかかれば当然ながら販売は減少することに加えて、中国でもコニャックの輸入に高い関税(+30%超)を課す動きがあり、このダブルパンチで輸出が激減するかもしれない懸念による決断だそうです

工場の前で取材を受けていた主任さんが、閉まってる門を眺めながら「出荷のトラックが通らない平日があるなんで」と嘆いてました
従業員も5月いっぱい、半分しか就労しないそうで、当然報酬も半額に…

ブドウ栽培農家も「今年のブドウは全部買ってもらえないかもしれないから、そうなら畑も半分にする」って言ってました

コニャックは対象ではありませんが、フランスでは近年、売れないワイン用のブドウ栽培をやめるように促す政策がとられており、ワインが売れ残った場合に蒸留酒に加工する助成金が出なくなってたりしています。
大人気で入手困難なワインがある一方で、安価で安定した品質の輸入ワインに負けてる産地もあるんです

この減反政策は、トランプ関税とは直接関係はありませんが、このレミー・マルタンのような決定が栽培農家に与える影響は大きいです。
コニャック大手のこの決定はよろしくないですねぇ〜
あの大統領にも困ったものです…



ところで、今、レミー・マルタンのルイ13世ってものすごい値段になってますね
ブラックパールはもはや飲み物のお値段ではない。
家が買える

レミー・マルタンは歴史的にはルイ15世に恩恵があるはずなんですが(穀物転換令が出たときに例外的にブドウ畑の拡大を許されています)、なぜか13世の名前ですね。
日本ではホストクラブ御用達で、空瓶に安物のVOブランデーか何か入れてるイメージかもしれませんが、本物のルイ13世は非常に高品質で美味しいコニャックです





皆様、普段コニャックは飲みますか?
実はてんちょ、大好きです
(飲み過ぎるので買わないようにしてるくらい)

コニャックはブランデーの代名詞の様に使われていますが、フランスのコニャック地方で生産されたものでなければコニャックと言ってはいけません
もちろん、原料ブドウ、生産方法には規制があり、それに則ったお酒だけがコニャックを名乗れるのです。
シャンパーニュと同じ、原産地呼称です。

コニャック地方は、シャラント県を中心にした地域でボルドーのすぐ北に位置しています。
ボルドー市からコニャックまで車で1時間30分、近いです

ここがシャラント県 ↓

シャラント県.png

ボルドーとは同じ行政圏です ↓

Aquitaine-Limousin-Poitou-Charentes_et_provinces.svg.png
どちらもWIKI

コニャックはその中心にある街の名前ですが、お酒のコニャックの生産はここを中心にした広い地域が指定されています。

もともとこの地域でもボルドーと同じく、スティルワインを生産していたんですが、日持ちがしないワインでボルドーの赤ワインと比較するとどうもいまいちだったらしく、16世紀にオランダの商人が蒸留してこれを運ぶことを考えたのが始まりだと言われています。

新教徒が多く住んでいたこの地方、アンリ4世の時代にはワインの輸出も盛んになっていました。
アンリ4世がブルボン朝の王になって、「フランスで最も美しい」シャラント川の交通を推奨したおかげで一層生産量が増えました。

シャラント川 ↓

シャラント川.png
グーグルマップより、本当にきれいですね

いつか行ってみたいです

食後酒の習慣がある方は日本だと少ないかなぁ
コニャックお勧めです、ぜひ水割りなんでやめてストレートで飲んでください。







posted by cave MITSUKURA at 16:11| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月17日

長老ブドウは白


今日の名古屋は暑いくらいの気温と日差しです
花粉もまだいっぱい


今日は飲んだことないワインを紹介します
味も香りも未知。こらこら

誰か一緒に飲みませんか

ピエール・リュック・レグラ1.png

ピエール・リュック・レグラ サン・サフォラン レ・ブラッサンジュ2023

スイスの白ワインです
シャスラ100%

スイス行ったことある方は皆さん口を揃えて「現地で飲んだワインが美味しかった」とおっしゃいます
大抵、白ワインを褒めてる方が多いですね。

しかし、日本ではあまりスイスワインを買うことができません
そして、入手可能な少ないワインでは、現地で飲んだほどの感動がないらしい。

スイスは国の政策としてワインの輸出には全く力を入れていません

この点は政府の方針なので何とも言えませんが、隣国オーストリアとは真逆です。
オーストリア政府はワインの輸出にかなり協力的で、日本の大使館でもワイン関連のイベントが色々あります
グリューナフェルトリナーという品種や、ホイリゲという新酒がかなり日本でも定着してきたかと思いますが、それは政府の後押しもあってのこと。

EUにも加入していないスイスではワインはあくまで地産地消の産物なのです
そりゃ、東洋の日本では見かけませんよね…


そんなスイスワインですが、栽培地域や品種は非常に多様なのです
フランス語、ドイツ語、イタリア語の主要言語の違う地域によって3つに分かれた産地にはたくさんのサブリージョンがあります。
栽培品種も900以上あるらしく、コルナランプティット・アルヴィン等、聞いたこともない品種がいっぱい。
なんじゃそりゃ


そんなスイスですが、白ブドウのトップはシャスラです
(黒ブドウのトップはピノノワール)

今日のワインの品種でもあるシャスラ、スイス固有の品種といっていいでしょう
白ワインの半分がシャスラです。

ピエール・リュック・レグラ5.png
生産者HPより シャスラと思われる

フランスでもシャスラは僅かながら栽培されています。
ロワールのプイイ・シュル・ロワールやサヴォワの一部です


このシャスラというブドウは古代品種なのですが、ヨーロッパの醸造用のブドウ品種の基準になる重要な品種です。

モンペリエの国立ブドウ研究所の品種に関する資料では、どの品種でも芽吹き、開花などに関して「シャスラと比較して〇日早い(または遅い)」という記載がされています。

例えば、

Bud burst: 13 days after Chasselas.(萌芽はシャスラの13日後)
Grape maturity: mid-season, 3 weeks to 3 weeks and a half after Chasselas.(ブドウの成熟はシャスラの3週から3週半後)
INRAE plantgrapeより

さて、この品種はなんでしょう? 
分かる人いますか?

 

 



これは、カベルネソーヴィニョンです
(分からなくて当然です)



シャスラはジューシーなブドウですが、皮が薄いのでうどん粉病などの病害に弱く、アロマがやや乏しく、酸味に欠ける事があるのが難点です
沢山の亜種?があるようですが、スイスのシャスラでは系統ゼロ(クローンなし)になってます。

この品種、やっぱりだわ〜
いつかスイス行けるかなぁ


さて、ワインについて。

生産者のピエール・リュック・レグラはフランス語圏、ヴォー地区にあります。
ここ ↓

ピエール・リュック・レグラ.png

レマン湖の畔にドメーヌがあります。
畑は急斜面に10か所に分かれて所有しているそうです

ピエール・リュック・レグラ2.png
HPより、以下同様

スイスって感じですね

ピエール・リュック・レグラ4.png


ワイナリーの設立がいつか、書いてませんね。
きっとまだ若いのでしょう。

ワインについてもほとんど情報がない

オーガニックで、樹齢は70年と古いらしい。
Terravin コンクールで金賞受賞してます

そして、飲んでいませんので、味はわかんなーい
店頭でも販売しています。

津田さん一人と後少し、なかなかの高級ワインです












posted by cave MITSUKURA at 17:21| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月16日

人気ドメーヌ少量入荷


名古屋も今日から気温が一段と上昇しています
朝晩はひんやりしていますので、今くらいがちょうどいいのかも。



店頭には、これが2種類だけ入荷しました

IMG_4317.jpg

ピエール・イヴ・コラン・モレ
ブルゴーニュ・シャルドネ2022
サントーバン・ブラン1erレ・シャンプロ2022


ラベル保護のラップとロウキャップ保護のクッションつけたままですんません

何が何だか全然わかりませんね…
発送するかな、と思いまして、届いたそのままです。

どちらも3本しかありませーん

ピエール・イヴ・コラン・モレって、いつの間にこんなに人気になったんでしょうね??
コロナの前なんて、もっとゴロゴロあったのに

今や、シャサーニュのモレってどれだけあるんでしょう?ってくらい、ドメーヌ増えました。
同じクラスのワインを集めてブラインドで飲んだら、どれがどうって、やはり違いがはっきりしてるのかなぁ。

しかし、今日の2本はまだ飲んじゃダメですよ〜









posted by cave MITSUKURA at 14:23| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月15日

しなやか白ワインの季節が来た


今日は寒い
名古屋市内は場所によっては強風が吹いています。

大阪万博始まったんですね
てんちょ、今のところは行く予定がありませんが…



万博には何の関係もありませんが、今日はこのワインを紹介します

サンミッシェル.jpg

シャトー・サン・ミッシェル ソーヴィニョンブラン2020

アメリカ、コロンビアバレーの白ワインです。
ソーヴィニョンブラン100%の辛口


さて、コロンビアバレーってどこでしょうか??

ここだ
って、地図で指せる方はそうはいないでしょう…

コロンビアバレーはアメリカ西海岸、ワシントン州のAVAです
AVAはアメリカでのAOCです、アメリカン・ヴィティカルチャー・エリアの略。

ワシントン州はカナダとの国境にある西海岸北端の州で、州都はオリンピアですがシアトルがある州と言ったほうが分かる方が多いと思います ↓

500px-Washington_in_United_States.svg.png

ワイン産地としては、アメリカ最大の産地であるカリフォルニア州の北にオレゴン州があって、その北がワシントン州です。
ワイン産地としてのコロンビアバレーは、コロンビア川の流域に広がる広大なエリアで、多くのサブゾーンを包括しています

州都オリンピアやその北にある大都市シアトルの周辺には、ピュージェット・サウンドという認定産地がありますが、これ以外のほとんどの認定産地がコロンビアバレーに含まれているほど大きな産地です。
内陸の産地はほぼ全部コロンビアバレーですね

しかも、このコロンビアバレーという名称は州境を超えて、南のオレゴン州の産地も含んでいます。
どんだけ広いの。

AVA-MAP-6.2023-01-2048x1593.png
Washington State Commissionより

うーん、細かいですね(コロンビアバレーは内陸です)


オレゴンとワシントンのワインは、近年の温暖化でも冷涼で繊細なワインが産出されるので、輸出市場でも高評価を得ています

しかしながら、細かい産地になると、どれがどれだか、ごっちゃごちゃになっている方も多いのではないでしょうか
てんちょ、そうかも
あー、要勉強、いつまでたっても身に付きません(扱わないので余計に)

ホース・ヘヴン・ヒルズ
ワルーク・スロープ
ラトルスネーク・ヒルズ


って、今見ても知らない
一度もこのAVA表示のあるワインを扱ったことがありません

これがちゃんとわかる人、すごいわー

あまりに細かい産地名表示では消費者には理解されにくく、購買につながらない事もあって、多くの生産者が、単にコロンビアバレーとだけ表示している例も多いと思います。
正当な規制は品質保持のためにも必要ですが、難解な産地呼称がワインの世界を一般の人から遠ざけている一因には間違いないので、難しいところです



さて、サン・ミッシェルの話。
このワイナリーは、1912年にフレデリック・スティムソン氏によってはじまりました

サン・ミッシェルMA19pz.jfif
HPより さすがの豪邸

シアトルで製材会社を経営していた彼は現在のワイナリーがある地に農場を構えたんですが(上の写真)、その後に農場はワイン会社と合併してワイン生産を始めています。
1967年に初めてシャトー・サン・ミッシェルの名前でワインがリリースされています

この合併当時の1960年代のアメリカでは「いいワインはイタリアか、カリフォルニア産だ」というのが常識で、誰もオレゴンやワシントン州でのワイン生産に関心を持っていませんでした
フランスでも「最もいいワインはフランス産に決まっている」という意識が広く定着していたのと同じです。

これを覆した事件があります。
1974年にシャトー・サン・ミッシェルのリースリングが『ロサンゼルス タイムズ』主催のテイスティングでトップ評価を受け、一躍全米の注目を集めました

これを機に、シャトー・サン・ミッシェルは成長著しく、畑を取得し生産を拡大、今では1420haもの所有畑を有する一大メーカーになっています
傘下にあるブランドもたくさん、ワシントン州最大のワイナリーです。

パリ試飲会事件もほぼ同時期にありましたね
新旧世界の入れ替わり、新しいページが始まったわけです


シャトー・サン・ミッシェルはとにかく大きな会社です
創業者のスティムソンの名前を付けたワインから、買いブドウの安価なワイン、厳選された高級ワインまで非常にたくさんの種類のワインを生産しています。
全部分からないくらいあります

現在のシャトー ↓

サン・ミッシェル1.jpg
SNSより

今日のワインはHPに載っていませんね
残念…

コロンビアバレー内のソーヴィニョンブラン100%
醸造については言及なし(残念)
おそらく、醸造も熟成のステンレスタンクのみ、樽なし、でしょう。

リースリングのリーダー的存在だけあって、酸を生かした透明感のある繊細なワインになっています

最近のサンセールやマルボロのソーヴィニョンブランは、酸が強い一方で香りの青さが目立つというか、熟度に負けない骨格を持たせようとするせいか、ソーヴィニョンブランなのにワインが重いものが多くて疲れます
飲み飽きるというか、進まないというか、パワフルなものが増えた印象です。
よく冷やして飲むには存在感があって美味しいんですが。

その点、このソーヴィニョンブランなら、軽やかでディナーワインとして1本でもお供になれます
ソーヴィニョンブランのあの「カシスの芽」「猫の〇〇っこ」が控えめなのが嬉しい。
青くない。

お値段も3000円以下、アメリカのワインでもこういう線の細い、上品なものがオレゴンやワシントンにはあります。
ただ、いいなと思うと結構なお値段がしちゃうので、その点でも今日のワインはお利口です

ワインだけで飲んでも美味しく、飲み飽きません。
是非飲んでほしいです










posted by cave MITSUKURA at 17:53| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月10日

現代のシルリームスー


今日は雨の名古屋です
多少花粉がマシ、でしょうか。

てんちょ、体調がすこぶる悪くて、寝込むほどではありませんが絶不調です
花粉症がひどいのに加えて風邪を引いたので余計に悪化したようで…
頭痛がするし、味覚はイマイチだし
それでしばらくブログも書いていませんでした
途中まで書いては止め、書いては消し。


5月15日のシャンソン・ディナー会は満席になりました
お申し込みの皆様ありがとうございます
キャンセル待ちも承りますのでお店まで連絡ください



今日は簡単な備忘録です。
シャンパーニュ、フランソワ・スゴンデについて紹介します

IMG_4258.jpg

フランソワ・スゴンデ
左から、
1.グランクリュ ブリュットNV
2.ロゼ ブリュットNV
3.ラ・ロジェ グランクリュ ブラン・ド・ブランNV
4.クラヴィエ コンポシションNV
5.ヴィンテージ2016 グランクリュ ブラン・ド・ブラン
6.ピュイジュー グランクリュ レ・プティット・ヴィーニュNV


記載のないグランクリュは全てシルリーです

写真以外にもゼロドサージュと、Sermiers 1er CruBlanc de Blancs、赤白のコトーシャンプノワの生産があります。
今回は輸入がなくて手に入りませんでした


フランソワ・スゴンデはシャンパーニュファンなら知ってるべき優れたレコルタンです

広大なシャンパーニュで17の村だけが名乗れるグランクリュの一つ、シルリーにあります。

フランソワ・スゴンデ.png

モンターニュ・ド・ランスで北に位置するこの村は今ではとても小さな集落ですが、歴史的には非常に名高い場所なのです

まだシャンパーニュがスティルワインを生産していてブルゴーニュとライバルであった中世、「王だけが値する」ワインとしてシルリーワインの名前が挙げられています
そのきっかけは16世紀の終わりにあります。

この時代、宗教戦争に一応の終結を見たフランスではアンリ4世が即位してブルボン朝が始まりました。
この変わり身の早い王様、治世は概ね高評価されています
彼の宰相を務めていたのが、シルリーに城を構えるニコラ・ブリュラール(名門一族)で、彼は宮廷に自分の地所のワインを売り込むことに成功し、その質の高さが非常に好評だったそうです。
その後もシルリーワインは優れたワインとして知名度が高く続くのですが、発泡性のワインが主流になってくると今度はシルリームスーとして評判になります

やはりワインの評判がいいと言う事は、その畑のポテンシャルが高いと言う事であり、それがスティルであってもスパークリングであっても重要な要素であることには変わりありません

現代になって、シャンパーニュありきのマーケットではシルリーは小さな場所で、目立ったメゾンもなく注目度が低いかもしれません。
しかし、このフランソワ・スゴンデがあることでその名声は保たれていると言っても過言ではありません

因みに、Secondé=スゴンデ、だそうです。
Cなので、スコンデじゃないの?って思いますが、「ゴ」って濁るそうです。


創始者のフランソワ・スゴンデさん、わずか14歳で進学せず、この道へ入り、見習いとして仕事を始めたそうです。
最初は貸与だった畑ですが、1972年に最初の畑を購入しています
1976年に3haに畑を増やし、自分のワイナリーを興しました。

portrat-FS.png
HPより

現在、畑は5.5ha、マイイ、ピュイジュー、シルリー、ヴェルズネイのグランクリュを中心に、ピノノワール3分の2、シャルドネ3分の1を植えています
ただ、非常に残念なことにフランソワ氏は既に鬼籍に入ってしまっています。


17のグランクリュで最もマイナーな村であるピュイジュー、最近までこの名前をシャンパーニュにつけて生産しているのは、このフランソワ・スゴンデ、ただ1軒のみでした
それも近年始まったキュヴェです。
(今ではもう1軒、新しいレコルタンがいます)

ピュイジューは他のグランクリュの生産者も不思議に思うほど、小さくて目立たない場所です
とある有名生産者に「当時の村長に力があったんじゃないか」って言われたことあります…
まぁ、特級申請するしない、ってAOC制定当時と今では状況が全く違いますが、今となっては選ばれてよかったでしょう。

ピュイジューは面積が小さいこともありますが、ほとんどの畑をマイイの協同組合とモエ・エ・シャンドン、リュイナールが持っていますので、単独の名前を付けて販売されることがまずありません。
それ故、見かけない「幻のグランクリュ」になってしまっています

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 ↑ だから、フランソワ・スゴンデがピュイジューを生産した時には、興味津々で是非扱おうと思ったものです
2009年が最初の生産です(シャンパーニュはNVです)

ヴィンテージを経て、値上がりしていますが、シャンパーニュ通であるならこれは飲むべき1本です
ミュズレも素敵なのです(額には入りませんが)



各キュヴェを簡単に説明します。

1.グランクリュ ブリュットNV

これが蔵のスタンダードです。
ピノノワール3分の2、シャルドネ3分の1と所有畑と同じ割合で、様々な区画のブドウを使用しています。
30%リザーヴワインを使用、MLFあり(以下全て同様)、瓶熟は18から24か月、ドサージュ8g(これもピュイジュー以外全て同じ)
年産25000本

2.ロゼ ブリュットNV

ピノノワール100%
20%リザーヴワイン、瓶熟24か月
年産4000本

3.ラ・ロジェ グランクリュ ブラン・ド・ブランNV

ピノノワール100%、全てシルリーグランクリュ
MLFに一部樽を使用、瓶熟18から24か月
年産2000本
なぜ名前がロッジなのでしょう…?

4.クラヴィエ コンポシションNV

3分の2シャルドネ、3分の1ピノノワール
10%リザーヴワイン、瓶熟24か月
年産2000本
音符がラベルに書かれていますが、クラヴィエ=鍵盤の名前がついています

5.ヴィンテージ2016 グランクリュ ブラン・ド・ブラン

シャルドネ100%、シルリーグランクリュのみ
MLFに一部樽を使用、瓶熟5年以上
平均年産2500本

6.ピュイジュー グランクリュ レ・プティット・ヴィーニュNV

ピノノワール50%、シャルドネ50% ピュイジュー・グランクリュのみ
リザーヴワインはソレラシステムで保存
MLFは樽で行う、ドサージュ6g
瓶熟24か月
年産600本以下

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SNSより 樽の準備中(シャンパーニュメーカーでは樽を使わない方がメジャーです)

さて、味覚が半分以下のてんちょ、飲むのやめよかな(弱気)

店頭には1と6があります。
ぜひ飲んでみてください〜










posted by cave MITSUKURA at 15:13| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月06日

南の冷涼ワイン


雨が上がって曇りの名古屋です
花粉が少しは落ち着いてきたでしょうか…

てんちょ、いまいち風邪が全快しませんで、その上花粉症もあって、味覚がピンチです
早く治って欲しい。



今日はこのワインについて書きます

ピュージー・ヴェイルVLPB15_1.jpg

ピュージー・ヴェイル ザ・コンツアーズ リースリング2015

オーストラリアの白ワインです

ミツクラにはオセアニアのワインがとても少ないのですが、その内の1本です。
今日はカンガルーの方です(いつもはウィーンの方の紹介が多いのです)

ピュージー・ヴェイルサウスオーストラリア州、バロッサにあるワイナリーです
1847年創業とかなり古い蔵で、イギリス人のジョセフ・ギルバートが始めました。


18世紀の後半に本格的な植民地化を進めたイギリスですが、その当時のオーストラリアは入植地というより流刑地としての役割が主体で、原住民との間に争いが絶えませんでした。
余談になりますが、アメリカ同様に白人がしれっと「自分の国」としていることに反感を持っている子孫の人たちがいるのは当然だと思います。
1851年に金鉱が発見されたことで一般人の移民が倍増していますので、ピュージー・ヴェイルの創始者の彼も同じように船に乗って旅してきた一人だと考えられます。

ギルバート氏はイングランドのウィルトシャー州、ピュージー谷の出身だったため、自身の入植地にも同じ名前を付け、ピュージー・ヴェイルとしました

ウィルトシャーはここ ↓

ピュージー・ヴェイル.png
ストーンヘンジがまぁ近い


この地の開拓者である彼は、リースリングを植え、それが今日まで続いています。

順調に成長を遂げた事業で息子さんに受け継がれた蔵は1930年代に一度衰退してしまいます。
この時期のオーストラリアでは、酒精強化ワインが大人気で、アルコール度数の低い普通のワインはあまり需要がありませんでしたので、軽やかなリースリングは特に売れなかったのでしょう。
他の品種に植え替えたりして段々生産が無くなっていきます。

1961年に新しいオーナーがピュージー・ヴェイルを買収して再興、ジャンツやダルリンプルと同じグループに属するワイナリーとして現在に至ります


ところで、蔵のあるイーデンバレーですが、Eden Valleyなので資料によってはエデンバレーと記載されています。
(ソムリエ協会の教本はイーデンバレーですが、グーグルマップはエデンバレーになってます)
まぁ、どっちでもいいのでしょうか。
現地では何と呼んでいますかね。

ピュージー・ヴェイル1.png

海に面した大都市アデレードから近いのですが、イーデンバレーは標高の高い地域で、ピュージー・ヴェイルも同様に冷涼な気候に恵まれています。
近年、とにかく暑いオージーの気候を考えるとこれは非常に貴重な事です


オーストラリアワインと言うと、シラーズと思う方が一番多いと思います。
またはしっかりした白の厚みのあるシャルドネ。
てんちょもそうです。

繊細なリースリングを思い浮かべる人は少ないでしょうが、ピュージー・ヴェイルは非常によくできています

特に今日のコンツアーズシングルヴィンヤードの特別品です

ピュージー・ヴェイル2.png
HPより

標高490〜440メートルの畑で、1969年植樹のリースリング100%
有機栽培で、樽の使用はなし。

冷涼な気候が理解できるような細く長いスタイルです。
爽やかでありながら陽気な雰囲気があるのは、やはりオーストラリアだからでしょうか?
ドイツやワッハウとは違いますね

アデレードから旅行に来たという方が絶賛していました
車で直接買いに行くって言ってましたね


今日のワインは10年熟成の2015年です

津田さんでおつりがくるくらいなので、お手軽とは言えないかもしれませんが、
新世界ワインでは中々飲む機会がない熟成リースリング、興味ある方は是非お試しください〜











posted by cave MITSUKURA at 15:05| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月04日

中華とブルゴーニュのマリアージュ


いいお天気の名古屋ですが、少し風が冷たいです
花粉よ、もう終わってくれ〜


イベントページに、5月14日のシャンソン・ディナー会の案内を載せました

シャンソン会ワイン.jpg

スーツァン陳名古屋.png

スーツァン陳さんにはよくお世話になっていますが、毎回とてもお料理のレベルが高くて美味しいです
ワインに合うように考えられたコース内容で、四川や中華だけじゃない広がりがあります。
ただ、飲んで食べてるだけでも十分幸せだと思います

是非、皆様ご参加ください





posted by cave MITSUKURA at 14:23| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月02日

時間がない


外はそれなりに暖かいらしいですが、店内はひんやりしてます
ワインにはいい環境ですが、寒い…


店頭にはいくつか新しいワインが入荷してきました

モンジャール・ミュニュレ
フランソワ・ミエ

等。

モンジャール・ミュニュレはやっとプティ・モン2022が買えました
もちろんケースでオファー出しても、来たのは数本ですが。

小さな区画で生産も少ないので、値上がりが激しいですが、「まだ良心的」な価格で買えました。
1本自分が欲しいわ

フランソワ・ミエ白が2種類(マルサネとオートコート)とヴォルネイが1種の合計3種。
白って飲んだ事なくて、どうなんでしょう??


ちょっと忙しくて紹介できませんので、また週末にでも
まっててちょー(名古屋弁?)





posted by cave MITSUKURA at 16:44| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月01日

4月バカってもう死語?


今日は4月1日

今日から新年度ですね
何も変わらないカーヴミツクラですが。

アルバイトと正社員の募集は引き続き行っております


今日はエイプリルフールですから、何か面白い記事でもあるかと思っていましたが、世相が暗いせいかほとんど見かけませんでした
世界も日本も余裕がないのね。

それに、エイプリルフールって、罪のない誰も傷つかない嘘を言うべきですね
火星に支店を出すとか、先祖が夢枕に立って財宝のありかを教えてくれた、とか
バカバカしいのでお願いしたい

フランスではエイプリルフールは、Poisson d’Avril=ポワソン・ダヴリルと言います

「4月の魚」って意味ですが、なぜ魚なのか、これまで理由を説明してくれる人がいません
フランスでは魚の形のお菓子屋パイを売っています。
子どもいたずらで、魚の絵を描いた紙を背中に張ったりします。

嘘でもいいから、ジョニー・デップかブラッド・ピットが来ないかなぁ





posted by cave MITSUKURA at 20:29| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする