2025年04月10日

現代のシルリームスー


今日は雨の名古屋です
多少花粉がマシ、でしょうか。

てんちょ、体調がすこぶる悪くて、寝込むほどではありませんが絶不調です
花粉症がひどいのに加えて風邪を引いたので余計に悪化したようで…
頭痛がするし、味覚はイマイチだし
それでしばらくブログも書いていませんでした
途中まで書いては止め、書いては消し。


5月15日のシャンソン・ディナー会は満席になりました
お申し込みの皆様ありがとうございます
キャンセル待ちも承りますのでお店まで連絡ください



今日は簡単な備忘録です。
シャンパーニュ、フランソワ・スゴンデについて紹介します

IMG_4258.jpg

フランソワ・スゴンデ
左から、
1.グランクリュ ブリュットNV
2.ロゼ ブリュットNV
3.ラ・ロジェ グランクリュ ブラン・ド・ブランNV
4.クラヴィエ コンポシションNV
5.ヴィンテージ2016 グランクリュ ブラン・ド・ブラン
6.ピュイジュー グランクリュ レ・プティット・ヴィーニュNV


記載のないグランクリュは全てシルリーです

写真以外にもゼロドサージュと、Sermiers 1er CruBlanc de Blancs、赤白のコトーシャンプノワの生産があります。
今回は輸入がなくて手に入りませんでした


フランソワ・スゴンデはシャンパーニュファンなら知ってるべき優れたレコルタンです

広大なシャンパーニュで17の村だけが名乗れるグランクリュの一つ、シルリーにあります。

フランソワ・スゴンデ.png

モンターニュ・ド・ランスで北に位置するこの村は今ではとても小さな集落ですが、歴史的には非常に名高い場所なのです

まだシャンパーニュがスティルワインを生産していてブルゴーニュとライバルであった中世、「王だけが値する」ワインとしてシルリーワインの名前が挙げられています
そのきっかけは16世紀の終わりにあります。

この時代、宗教戦争に一応の終結を見たフランスではアンリ4世が即位してブルボン朝が始まりました。
この変わり身の早い王様、治世は概ね高評価されています
彼の宰相を務めていたのが、シルリーに城を構えるニコラ・ブリュラール(名門一族)で、彼は宮廷に自分の地所のワインを売り込むことに成功し、その質の高さが非常に好評だったそうです。
その後もシルリーワインは優れたワインとして知名度が高く続くのですが、発泡性のワインが主流になってくると今度はシルリームスーとして評判になります

やはりワインの評判がいいと言う事は、その畑のポテンシャルが高いと言う事であり、それがスティルであってもスパークリングであっても重要な要素であることには変わりありません

現代になって、シャンパーニュありきのマーケットではシルリーは小さな場所で、目立ったメゾンもなく注目度が低いかもしれません。
しかし、このフランソワ・スゴンデがあることでその名声は保たれていると言っても過言ではありません

因みに、Secondé=スゴンデ、だそうです。
Cなので、スコンデじゃないの?って思いますが、「ゴ」って濁るそうです。


創始者のフランソワ・スゴンデさん、わずか14歳で進学せず、この道へ入り、見習いとして仕事を始めたそうです。
最初は貸与だった畑ですが、1972年に最初の畑を購入しています
1976年に3haに畑を増やし、自分のワイナリーを興しました。

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HPより

現在、畑は5.5ha、マイイ、ピュイジュー、シルリー、ヴェルズネイのグランクリュを中心に、ピノノワール3分の2、シャルドネ3分の1を植えています
ただ、非常に残念なことにフランソワ氏は既に鬼籍に入ってしまっています。


17のグランクリュで最もマイナーな村であるピュイジュー、最近までこの名前をシャンパーニュにつけて生産しているのは、このフランソワ・スゴンデ、ただ1軒のみでした
それも近年始まったキュヴェです。
(今ではもう1軒、新しいレコルタンがいます)

ピュイジューは他のグランクリュの生産者も不思議に思うほど、小さくて目立たない場所です
とある有名生産者に「当時の村長に力があったんじゃないか」って言われたことあります…
まぁ、特級申請するしない、ってAOC制定当時と今では状況が全く違いますが、今となっては選ばれてよかったでしょう。

ピュイジューは面積が小さいこともありますが、ほとんどの畑をマイイの協同組合とモエ・エ・シャンドン、リュイナールが持っていますので、単独の名前を付けて販売されることがまずありません。
それ故、見かけない「幻のグランクリュ」になってしまっています

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 ↑ だから、フランソワ・スゴンデがピュイジューを生産した時には、興味津々で是非扱おうと思ったものです
2009年が最初の生産です(シャンパーニュはNVです)

ヴィンテージを経て、値上がりしていますが、シャンパーニュ通であるならこれは飲むべき1本です
ミュズレも素敵なのです(額には入りませんが)



各キュヴェを簡単に説明します。

1.グランクリュ ブリュットNV

これが蔵のスタンダードです。
ピノノワール3分の2、シャルドネ3分の1と所有畑と同じ割合で、様々な区画のブドウを使用しています。
30%リザーヴワインを使用、MLFあり(以下全て同様)、瓶熟は18から24か月、ドサージュ8g(これもピュイジュー以外全て同じ)
年産25000本

2.ロゼ ブリュットNV

ピノノワール100%
20%リザーヴワイン、瓶熟24か月
年産4000本

3.ラ・ロジェ グランクリュ ブラン・ド・ブランNV

ピノノワール100%、全てシルリーグランクリュ
MLFに一部樽を使用、瓶熟18から24か月
年産2000本
なぜ名前がロッジなのでしょう…?

4.クラヴィエ コンポシションNV

3分の2シャルドネ、3分の1ピノノワール
10%リザーヴワイン、瓶熟24か月
年産2000本
音符がラベルに書かれていますが、クラヴィエ=鍵盤の名前がついています

5.ヴィンテージ2016 グランクリュ ブラン・ド・ブラン

シャルドネ100%、シルリーグランクリュのみ
MLFに一部樽を使用、瓶熟5年以上
平均年産2500本

6.ピュイジュー グランクリュ レ・プティット・ヴィーニュNV

ピノノワール50%、シャルドネ50% ピュイジュー・グランクリュのみ
リザーヴワインはソレラシステムで保存
MLFは樽で行う、ドサージュ6g
瓶熟24か月
年産600本以下

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SNSより 樽の準備中(シャンパーニュメーカーでは樽を使わない方がメジャーです)

さて、味覚が半分以下のてんちょ、飲むのやめよかな(弱気)

店頭には1と6があります。
ぜひ飲んでみてください〜










posted by cave MITSUKURA at 15:13| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする