2025年04月15日

しなやか白ワインの季節が来た


今日は寒い
名古屋市内は場所によっては強風が吹いています。

大阪万博始まったんですね
てんちょ、今のところは行く予定がありませんが…



万博には何の関係もありませんが、今日はこのワインを紹介します

サンミッシェル.jpg

シャトー・サン・ミッシェル ソーヴィニョンブラン2020

アメリカ、コロンビアバレーの白ワインです。
ソーヴィニョンブラン100%の辛口


さて、コロンビアバレーってどこでしょうか??

ここだ
って、地図で指せる方はそうはいないでしょう…

コロンビアバレーはアメリカ西海岸、ワシントン州のAVAです
AVAはアメリカでのAOCです、アメリカン・ヴィティカルチャー・エリアの略。

ワシントン州はカナダとの国境にある西海岸北端の州で、州都はオリンピアですがシアトルがある州と言ったほうが分かる方が多いと思います ↓

500px-Washington_in_United_States.svg.png

ワイン産地としては、アメリカ最大の産地であるカリフォルニア州の北にオレゴン州があって、その北がワシントン州です。
ワイン産地としてのコロンビアバレーは、コロンビア川の流域に広がる広大なエリアで、多くのサブゾーンを包括しています

州都オリンピアやその北にある大都市シアトルの周辺には、ピュージェット・サウンドという認定産地がありますが、これ以外のほとんどの認定産地がコロンビアバレーに含まれているほど大きな産地です。
内陸の産地はほぼ全部コロンビアバレーですね

しかも、このコロンビアバレーという名称は州境を超えて、南のオレゴン州の産地も含んでいます。
どんだけ広いの。

AVA-MAP-6.2023-01-2048x1593.png
Washington State Commissionより

うーん、細かいですね(コロンビアバレーは内陸です)


オレゴンとワシントンのワインは、近年の温暖化でも冷涼で繊細なワインが産出されるので、輸出市場でも高評価を得ています

しかしながら、細かい産地になると、どれがどれだか、ごっちゃごちゃになっている方も多いのではないでしょうか
てんちょ、そうかも
あー、要勉強、いつまでたっても身に付きません(扱わないので余計に)

ホース・ヘヴン・ヒルズ
ワルーク・スロープ
ラトルスネーク・ヒルズ


って、今見ても知らない
一度もこのAVA表示のあるワインを扱ったことがありません

これがちゃんとわかる人、すごいわー

あまりに細かい産地名表示では消費者には理解されにくく、購買につながらない事もあって、多くの生産者が、単にコロンビアバレーとだけ表示している例も多いと思います。
正当な規制は品質保持のためにも必要ですが、難解な産地呼称がワインの世界を一般の人から遠ざけている一因には間違いないので、難しいところです



さて、サン・ミッシェルの話。
このワイナリーは、1912年にフレデリック・スティムソン氏によってはじまりました

サン・ミッシェルMA19pz.jfif
HPより さすがの豪邸

シアトルで製材会社を経営していた彼は現在のワイナリーがある地に農場を構えたんですが(上の写真)、その後に農場はワイン会社と合併してワイン生産を始めています。
1967年に初めてシャトー・サン・ミッシェルの名前でワインがリリースされています

この合併当時の1960年代のアメリカでは「いいワインはイタリアか、カリフォルニア産だ」というのが常識で、誰もオレゴンやワシントン州でのワイン生産に関心を持っていませんでした
フランスでも「最もいいワインはフランス産に決まっている」という意識が広く定着していたのと同じです。

これを覆した事件があります。
1974年にシャトー・サン・ミッシェルのリースリングが『ロサンゼルス タイムズ』主催のテイスティングでトップ評価を受け、一躍全米の注目を集めました

これを機に、シャトー・サン・ミッシェルは成長著しく、畑を取得し生産を拡大、今では1420haもの所有畑を有する一大メーカーになっています
傘下にあるブランドもたくさん、ワシントン州最大のワイナリーです。

パリ試飲会事件もほぼ同時期にありましたね
新旧世界の入れ替わり、新しいページが始まったわけです


シャトー・サン・ミッシェルはとにかく大きな会社です
創業者のスティムソンの名前を付けたワインから、買いブドウの安価なワイン、厳選された高級ワインまで非常にたくさんの種類のワインを生産しています。
全部分からないくらいあります

現在のシャトー ↓

サン・ミッシェル1.jpg
SNSより

今日のワインはHPに載っていませんね
残念…

コロンビアバレー内のソーヴィニョンブラン100%
醸造については言及なし(残念)
おそらく、醸造も熟成のステンレスタンクのみ、樽なし、でしょう。

リースリングのリーダー的存在だけあって、酸を生かした透明感のある繊細なワインになっています

最近のサンセールやマルボロのソーヴィニョンブランは、酸が強い一方で香りの青さが目立つというか、熟度に負けない骨格を持たせようとするせいか、ソーヴィニョンブランなのにワインが重いものが多くて疲れます
飲み飽きるというか、進まないというか、パワフルなものが増えた印象です。
よく冷やして飲むには存在感があって美味しいんですが。

その点、このソーヴィニョンブランなら、軽やかでディナーワインとして1本でもお供になれます
ソーヴィニョンブランのあの「カシスの芽」「猫の〇〇っこ」が控えめなのが嬉しい。
青くない。

お値段も3000円以下、アメリカのワインでもこういう線の細い、上品なものがオレゴンやワシントンにはあります。
ただ、いいなと思うと結構なお値段がしちゃうので、その点でも今日のワインはお利口です

ワインだけで飲んでも美味しく、飲み飽きません。
是非飲んでほしいです










posted by cave MITSUKURA at 17:53| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする