2020年02月04日

本家を見分けられるか


節分にも立春にも何の感慨もない、エセ都会人になったわたくし
気温が低いとはいえ、最高気温は二桁の名古屋。

今年は恵方巻の大量廃棄問題はないんでしょうか??
ちょっと前のクリスマスケーキとか本当にもったいない話

それよりも新型コロナウィルスですよね…
収束に向かうようには未だ見えない、不安な状況。
人や物が地球規模で簡単に移動してる昨今では伝染病の急速な拡散は致し方ないのかもしれませんが、早く収まって欲しい





フランスでは、工業的なカマンベールチーズにはAOPの認証を与えない決定が下されたそうですが、
カマンベールは長年、人気故に高温殺菌乳を認めるか生産地域の拡大を認めるか、など沢山の議論や対立があります。

カマンベー・ド・ノルマンディcamembert1.png
GRAINDORGEより

日本ではそれ以前に、AOPで保護された「カマンベール・ド・ノルマンディ」をきちんと理解してる人はとっても少ないのが残念
しかし、実はカマンベールの名称を巡っては、日本だけじゃなくてフランス国内やアメリカでも同様なんです。

カマンベー・ド・ノルマンディは名前の通り、フランス北部のノルマンディー地方のチーズです

4つの県にまたがって細かく産地が決められています。
都市としてはルーアンカンが大きな街ですが、二つとも地域外、北のシェルブールは範囲内です。
カマンベールは中心となる産地の村の名前で、オルヌ県アルジャンタン郡ヴィムーティエ小郡にある小さな田舎の村です。

ここ ↓

カマンベール.png
(ここからシェルブールって結構遠い…)

ノルマンディー産の伝統的なカマンベール村の白カビチーズは、パリ万博に合わせて開通した鉄道によってパリへの出荷が可能になり、ナポレオン3世のお気に入り、などの評判も手伝ってパリで一大人気となります
今でも使われている木のケースのおかげで長期輸送にも絶えられた事も大きな要因です。

元々この白カビチーズには名称がなく、カマンベール村のチーズが月曜に市場に並ぶのが美味しい、という評判から「カマンベールのチーズ」と呼ばれる様になったのですが(これが18世紀前半)、パリで評判になり売れるとなると当然模倣品が出回るようになります
コピーチーズが出て来るのは必然。

品質の良い物だけならまだしも、やっぱり本家とは似ても似つかない粗悪品も出回り、地元の生産者は団結して自分たちのチーズを守ろうと努力します。
「正真正銘のカマンベール」という名称を用いてた時代もありましたが、1983年になってようやくカマンベール・ド・ノルマンディという名称で、産地や牛の種類、搾乳、殺菌、凝固など細かく規定されるに至りました

でも、この1983年の規制は遅すぎたんです

フランスでブリ―やコンテと並んで有名なカマンベールチーズは、法規制が始まった時点で既に多くの産地や工場で真似されて、似たような白カビチーズが、わんさか生産されてました。
正式名称のカマンベー・ド・ノルマンディとは名乗れませんが、カマンベールとだけ名乗る事は禁止できなかったんです

これがカマンベールチーズの悲劇かも、有名が故にオリジナルが隠れてるという皮肉

日本でも美味しくない(はっきり書かせていただきました)白カビチーズが「カマンベール」として大きな顔して売られていますが、あれはそもそもがロングライフ製法で本当のナチュラルチーズとは言えない、「なんちゃってカマンベール」です。
「カマンベール風」と言うべきか。
でも大半の方にとってはあれがカマンベールなんですよね…

こういう法規制に基づく名称は、ワインの世界でもかつては同じでした
スパークリングワインであってもシャンパーニュではない、
カリフォルニアのシャブリ(今はないです)、オーストラリアのプロセッコ(品種の名称なので違法でも問題でもない)、など。
ややこしいと言えばそうかも。

神戸牛や松阪牛でも同じ、黒豚や地鶏もそうですが、
良心と金儲けの天秤はどうしてもあっちに分があるもんです

で、このカマンベー・ド・ノルマンデというチーズ、
食べやすいと思われている方が多いかもしれませんが、本物は個性のある味です

ミルクのコクに加えて、若い内は塩味くらいしか感じませんが、熟成するとウォッシュチーズにも似た粘性が表皮に出て来ます。
上手に熟成させると真ん中がスプーンですくえそうですんごく美味しいですが、変な熟成になってしまう事も結構あるので要注意です
熟成させすぎると、ピリっと辛くなって来たり、えぐみが出たり。
上手く熟成させるって冷蔵庫では特に難しい

カマンベールの周辺には、
リヴァロ
ヌシャテル
ポン・レヴェック
という同じく伝統的なAOP認定を受けたチーズがあります

どれがどんな種類か分かりますか??
(日本ではあんまり美味しいリヴァロに当たった事ないです)

生産量の増加には需要の増加=人口増加、も大きな一因としてある訳で、食べる人も作る人も沢山いればこだわりの限定品だけでは成り立たないという側面もあるにはある。
フランスの工場で大量に作られる白カビチーズが実際に多くの人に消費されてるのは事実です。
名称の問題はまた別ですが。

コンテやブリ―も、規定内であっても生産が増えすぎて、産地の周辺の環境に悪影響があるとか

フランスのナチュラルチーズは本当に美味しいものが多いので早くEPAが全面的に適用されるといいのになー

チーズは勉強するというより専ら食べるだけ、のてんちょ。
まぁ、ワインも飲むだけ、ですけど

…チーズの話は簡単にしてワインの紹介しようと思ったのですが、長くなってしまったので明日します







posted by cave MITSUKURA at 17:42| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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