今日も曇りでやや涼しい名古屋です

フランスのブドウ畑では既に実が大きくなりつつあり、平年よりも1ヶ月も早い生育状況です。
(20年前なら開花が6月下旬が普通でした)
マルセルダイスSNSより
↑ この写真はアルザスですが、フランス全土で同じ様に早い生育です
一部、ミルデュMildouと呼ばれる病気が発生していますが、さほど深刻ではないようです。
ブドウも他の果樹同様に病気になりやすいのですが、様々な菌による腐敗が昔から大きな脅威になっています。

Michael Grisard SNSより(オイディウム含む)
ミルデュは日本語でベト病と言いますが、フィロキセラと同様にアメリカから「輸入」された病害です。
葉にも実にも白いカビが付いて枯れさせてしまいます

湿度が高い畑で起こりやすく、名前の通りべとべとしたカビが原因です。
シャンパーニュのエリックロデスSNSより
「警戒が必要」
ブドウにうっすらカビが付いてます
南仏やアルゼンチンの利点として、「風が強い」「乾燥している」などが挙げられますが、こういう環境だとカビも発生しづらいので、病害が少ない、とはそういう事なんです

風通しが良いとブドウにもいい。
でも、一方では強風だと光合成の効率は下がります

今は温暖化で日照の心配があまり要りませんのでいいですけど、緯度が高い地域では夏は無風であることが必要だった時代もありました。
ミルデュは19世紀の後半にフランスで大流行し、フィロキセラと相まってほとんどのブドウ畑が壊滅しています

ベルエポックの時代に水を差し、それからすぐにグランドゲール(第一次大戦)が起こってフランスのブドウ畑は大災難に見舞われます

いい時ばっかりじゃなかった…
このカビの病気ですが、対策にはボルドー液という硫酸銅を混ぜた石灰水を散布するのが有効とされています

この液体は、青っぽい紫白色をしていますのでブドウ畑に行って葉や実がこの色になってると、「あ、ボルドー液撒いたな」と一目瞭然です

ボルドー液は元々ブドウ泥棒除けに考案されたそうです

収穫前のブドウを夜中に取っていく輩がフランスにもいたそうで(今とは違い、売ると言うよりも飢えの為でしょうが)、
ボルドー液の掛かったブドウを食べるとお腹を壊すので、取られないようにする対策だったとのこと。
このまま無事に夏が終わり、大豊作で高品質の伝説的ヴィンテージになりますように

↑ 欲張り過ぎ