2024年02月13日

ラングドック広し、おすすめワイン


急に暖かくなって、春の気温になってるようですが、まだ相変わらず店内は寒い
あんまり早く気温が上がっても、花粉の飛散も早まるようですし、それは困る



今日はお手頃、南仏ワインを紹介します

オーシェール.jpg

オーシェール シャルドネ2021 & セレクション2021

フランス、ラングドックの白と赤。
両方ともIGPペイ・ドックです。

このワインは昔からあるのでご存じの方も多いと思います
ラベルデザインが少し変わってます、確か赤ワインは前はボルドータイプのボトルだったような。


今日のワインは、ボルドーの大手バロン・ド・ロートシルトが手掛けています
バロン・ド・ロートシルト、略してBDRは傘下に多くのワイナリーを置く巨大企業です。

最近では、シャブリウィリアム・フェーブルを新しいメンバーに加えています
アンリオ帝国も解体されちゃいましたねー

このBDRグループはフランス、ボルドーのメドック1級シャトーであるラフィットを取得したことに始まります
誰もが崇めるラフィット、飲み頃をいただくのがかなり難しいですが、くじけずにチャレンジしてほしい。


ところで、ラフィットグループ以外にもロスチャイルドのワイナリーはいくつかありますが、同じ一族でも同じ会社ではありません。
みんな親類なので少しややこしいかもしれません

まず、ロスチャイルドは元はドイツの一族です。
1800年代の後半に貸金業で財を成してます(所謂高級金貸し、ユダヤ人には職業選択の自由がなかったためでもあります)
ロートシルトと言われるのはドイツ風の呼び名で、赤い表札(ロート=赤、シルト=板)がかかっていたから、らしい。
(実際の表札は緑色だったらしいですが)

その後5人の息子がヨーロッパ各地へ進出します。
これがロスチャイルドのワインに5本の矢が描かれている所以です

長男は実家のフランクフルト
次男はウィーン
三男はロンドン
四男はナポリ
五男はパリ

今でも残っているのは、ロンドン系とパリ系です

この二つの家系のうち、1853年にロンドン系の息子ナサニエル氏がムートンを取得したのち、20世紀になってひ孫がシャトー・ムートン・ロートシルトを中心としたバロン・フィリップ・・ド・ロスチャイルドというグループを作りました。
こちらは、
カリフォルニアのオーパスワン
チリのアルマヴィーヴァ
など、有名なコラボレーションワインを生産しています

今日のBDRはパリ系です
ムートンから遅れて1858年、すでに格付け1級となっていたラフィットをジェームス男爵が買収します。
その後、
1962年 デュアール・ミロン
1984年 パラディ・カスイユ、リューセック
1988年 ロスヴァスコス(チリ)
1990年 レヴァンジル(ポムロル)
1999年 オーシェール ← 今日のワイナリー
同年  カロ(アルゼンチン)、サガ
2008年 ロンダイ(中国)
と、
グループを拡大しています

いっぱいありますね、全部分かりますか?

上記の二つ以外にも、エドモン・ロスチャイルドのグループもあるので余計にややこしいかも
 ↑ スペインのマカンとか。


で、今日のワインに話を戻して。

オーシェールというのは土地の名前です

ラングドックは広いので、オーシェールがどこにあるか、はっきりわかっている方は稀だと思います

ここです ↓

オーシェール.png

ナルボンヌの近く、ほとんどルションですね。
今日のワインはIGPペイ・ドックですが、ラインナップの多くはACコルビエールとなっています。

…うーん、どっちから行っても遠い場所だ
ほんと、ラングドックは広すぎます。
ニームからカルカソンヌって結構距離あるしなー


この地でのワインづくりはかなり長い歴史があります。
記録では最古のものは西暦97年のローマ時代、皇帝ドミティウスの勅令でブドウ樹を伐採(引き抜く)ことになった受難の記録です。
この勅令はワインの歴史上では有名で、ローマ(イタリア)産のブドウを保護するために、他地域=主にフランスのブドウ栽培を禁じたものです。
しかし、それは一時的なもので、すぐにブドウ栽培は復活しその後2000年近くも続くことになります



ドメーヌ・オーシェールのブドウ畑は160haにも及びます
(ドメーヌの所有する土地は600haもあるそうです)

斜面のACコルビエールを作る畑には黒ブドウの、シラー、ムールヴェードル、グルナッシュ、カリニャン、サンソーが植えられており、
平地でペイ・ドックを作る畑には、シャルドネメルロ、カベルネ ソーヴィニヨン、カベルネ フラン、プティ ヴェルドが植えられています。

赤はステンレスタンク発酵ののち、大樽で熟成しています。
白もステンレスタンク発酵・熟成、樽なしですが、澱引きせずに旨味を引き出すようにしています。

白は特に収穫のタイミングが重要で細心の注意を払って、気温の低い早朝などに行われます

なぜプロヴァンスやラングドックには白がなくてロゼが多いのか、はここに理由があります。

これからもっとその傾向は強まっていくでしょう。
今や貴重なラングドックの白と言ってもいいかも


今日の赤白はどちらも野口君2人で余裕でおつりが来ますので、気軽に飲むことが出来ます

まろやかで果実味豊かな赤、ミディアムボディでバランスがいいです
品種を考えるとどれもが支配的でなく、補完的な役割を果たしているせいか、1種類の香りだけがするわけじゃないのがいいですね
若々しい香りですが、飲むには全く問題ありません。

白も綺麗なレモンイエローで、香ばしさを感じるフルーツの香りがします
樽がなくてもブドウの完熟感がよく分かります、冷やしても沈まない香りと芯の通った酸味が生き生きしています。

…載せられるような畑やシャトーの写真が全然ない、残念

ラベルが変わって今のほうが好きです
是非飲んでみてください〜






















posted by cave MITSUKURA at 17:59| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする