2024年05月29日

ドボゴー訪問


帰国しました〜
日本はやっぱり湿度が高いですね。
無事に到着できましたが、各地で線状降水帯が発生したり、台風が接近していたり… 危なかったかも

トカイ、最後の訪問はドボゴーへ。
トカイ村の北側にあります。

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こじんまりした蔵です

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普段、土曜日はお休みなんですが、直接メールしたところ土曜の午前中ならワインメーカーさんがいるから訪問テイスティング可能だと。
(たまたま午後から何かパーティがあるそうで準備してるから、と)
やったー
素早い返信で、ありがたいです



ところで、体験した限りですが、ハンガリー人は皆さん時間に正確です
やや早く行っても大丈夫でした(と言っても2,3分)、日本の感覚に近いので楽です

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おしゃれな入口



ワインメーカーのアッティラさんが待っててくれました ↓

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「なんで、うちみたいな小さいことに来たの?」と言われたので、
「日本では知名度ありますよ」って言ったら意外そうでした。
…トカイ自体の知名度もありますが、そこまでマイナーではないと思う… 違う?

ドボゴーはハンガリーの銘酒、ウニクムを作っている会社が母体で操業20年ちょっとの新しい蔵です
アッティラさんのいとこの女性が代表を務めてるそうです。
ウニクムは薬草酒です、知ってますか?
独特の苦みがあります、オーセンティックなバーなら置いてあるのでは。

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アールヌーボー調のポスターが飾ってありました
この黒く丸いボトルに十字のマークなのですぐに分かる。

ドボゴーとは「馬の蹄の音」「心臓の鼓動」を意味しています、パカパカ・ドクドクといった感じ。
オフィスの前の坂道を馬車が通る音から名付けられた、とか。

中庭でテイスティング、醸造設備とセラーも見学させていただきました

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こちらは所有畑4haのみ、というかなり小規模なワイナリーです。
畑は4か所にあり、
べチャック
ブダゴー
ウラヨ
マッド

です(マッド以外分かりませんー、そもそも自分のメモが合ってるのか怪しい

今回の訪問でも最小、操業20年という若さでもあります。
その分、手間暇をかけてやりたいブドウ栽培・醸造が可能ですので、小規模でも質の高いワイナリーです

畑はビオで、醸造にも最小限のSO2と最後の清澄にベントナイトを使用するだけです

醸造設備にステンレスタンクも持っていますが、現在は樽発酵しているので瓶詰前のアッサンブラージュに使っているだけで普段は空っぽだそうです。

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発酵樽も20個?ほどしかなくて、ほとんどが昨年の23年のワインでした。
こちらもハンガリアンオーク。

空調や湿度管理はすべて自動、遠隔操作も可能だそうでハイテク〜

生産量も少なく、厳しい基準でブドウを選果していて、他社ではそこまでとてもできないだろうと思われる基準でした。
ボトルには全てシリアルナンバーが入っており、出荷時に少しでも(2ミリ)液面が下がっているワインは販売しないそうです
SO2が少ないので、その分のリスクは承知している、とのこと。

ドボゴーでは現在9種類のワインを生産しています。
樽からの試飲も合わせて、9種類全てを試飲させていただきました

1.エステート・フルミント2020
2.シングルヴィンヤード・ウラヨ2023 樽から 来週瓶詰予定
3.シングルヴィンヤード・ベチャック2023 樽から
4.ソモロドニ辛口2020 ファーストヴィンテージ 樽から 
5.レイトハーヴェスト2023 樽から
6.アスー6プトニュス2023 樽から あと2年はこのまま
7.レイトハーヴェスト ミリッタ2022
8.アスー6プトニュス2018 現行品
9.ピノノワール2017 少量生産

ただイレギュラーな特別ワインが一つあります。
最後の一つは、この20年で1度しか作れなかったエッセンシアです

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もちろん見るだけ。
木箱入りでグラス付きのかっこいいセット 
お値段は聞かなかったです。

オフィスの地下にセラーがあります。
現在のショップ兼オフィスは20年前には廃墟のようになっていて、それを購入して改装していますが、

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セラーの起源はもっと古く、450年ほど前に掘られたと考えられています。
やはり自然の温度で10度くらい、真っ直ぐ1本道の地下セラーです。

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こちらも丘の斜面に掘られているので最深部で地上から32メートル下になるそうです。
やはり黒カビ=fungus(フンガス)を大事にしています

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最初の中庭に戻りまして、試飲の続き。
それから、とても貴重な体験ができました

まず、アスー(貴腐)ブドウの試食

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見るだけかと思ったら「食べていいよ」と、嬉しい
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先にも書きました通り、ドボゴーでは大変厳しい選果を行っているため、ほかのワイナリーでは十分OKな貴腐も撥ねて使わないんだそうです。
その選別を抜けてきた貴腐葡萄、かなり甘くて種まで真っ黒です。

貴腐が一部付いたフルミントの写真を見せていただいて、半分以上は貴腐でOKなはずなんですが、これはダメ、これもダメ、と。
結局その半分も採用しない、という姿勢にびっくり。
もったいないような…

そして、写真のフルミントで貴腐が現れる寸前のブドウには茶色い影ができるので、それとわかるのだかとか。
そーなんだー、初めて聞きました

その完璧な貴腐ブドウ、これを絞るのはかなり大変でしょうね
アスーの圧搾には10時間から12時間かけて、円筒圧搾機(プヌマティック)で行います。
長い
そうでないと、この干しブドウから液体を得ることができないのです。

もう一つ。
アスーの果汁を貯めてあるガラスの甕からスプーン1杯、試食させてもらいました

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糖分が白く固まっていて、口の中でジャリジャリします
ブドウの糖分だけ、蜂蜜とメープルシロップみたい。
コーヒーのような焙煎の香りが口に広がり、一方で酸味があってリンゴやビターオレンジでもあり、とても複雑な味。

アルコール0%で糖分が多すぎて発酵しないそうなんで、子供でも食べられます
これは非常に稀な体験でした


こちらではピノノワールを購入しました
どれも美味しいのですが、敢えて赤を。

で、メールで聞いていたテイスティング代金を払おうとしたら、要らないって…
ワイン代だけ?
いいのですかぁぁ???

話が盛り上がったからかなぁ

こちらのピノノワールは新しい挑戦で、トカイのスタイルのピノノワールを確立したいそうです。
もちろんブルゴーニュの良さを知っていて、その上で独自性を求めたいと。
まだ、とても少ない生産で植樹から10年ほどですので、今後に期待です

他社も同様ですが、世界市場ではやはり甘口の需要は減少していますので、
今後はトカイでも赤ワインの生産が増えていくのではないかと思われます
既に各社でメルローを栽培していますし、ロゼの選択肢も僅かですがなくはない現在です。

そして、日本のエージェントはどこか聞いてみたところ…
非常によく知ってる会社でした、あれ〜?
てんちょの事、知ってると思うって言っておきました


今回、トカイで訪問したのは5軒、どこも大変いい勉強になりました
いつも一つとして無駄な経験はないと思います。
ハンガリー再訪が簡単に叶うとは思いませんが、また来たい場所です。

皆様にも安全ですし、ちょっと首都からも遠いですがおすすめいたします



















posted by cave MITSUKURA at 15:40| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする