明日にはまた晴れるようなのでたまには雨も必要かと。
今日は大阪で開催されたロベール・グロフィエセミナーに出席しました
ダッシュで帰る必要があったので最後尾です
招待で30名限定のようでしたが、空席が…
こんな貴重な機会に来ない人がいるんでしょうか⁉️
(途中できた方もいましたのでガラ空きではないんですが)
今回はロベール・グロフィエからニコラさんが初来日で初セミナーでした‼️
優しい口調のニコラさん、ドメーヌの4代目として2007年から経営を継承しています。
情熱と使命感を持ったニコラさんの非常に内容の濃い、いいお話をたくさん聞くことができました✨
ロベール・グロフィエはフランス、ブルゴーニュの有名ドメーヌです。
知ってる方が多いでしょう
こちらのワインを知らずしてブルゴーニュ通になることは叶いません
人気だけに品薄で値上がりも激しいのですが、魅力の一端を紹介できたらと思います。
グロフィエは、モレサンドニにある家族経営のドメーヌです。
所有する畑は8ha、全てがドメーヌから2キロ以内にある好立地ばかりで、区画の数も僅かに8か所だけの限定来な生産者です
それぞれの区画から1つのワインを生産しており、合計で8つのワインを作っていることになります。
全て赤ワインです。
因みに、モレサンドニにシェ(醸造所)はあるんですが、モレサンドニにはレジョナルのパストグランを作る区画が国道の東にあるだけで、
他の重要な畑はシャンボル・ミュジニーとジュヴレイ・シャンベルタンにあるという、ちょっと珍しいドメーヌです
中でも特級にも匹敵するといわれる1級レザムルーズの最大所有者であることは有名ですね
これが所有する区画、全ての地図です ↓
いいとこばっかり
グロフィエはブドウ栽培では200年ほどの歴史がある一族で、1950年代にドメーヌとして創業し、70年代に元詰めを始めています。
相続で分散した畑を買い戻して現在の優良畑を持つドメーヌへと成長しました。
今ドメーヌはニコラさんと奥さんの2人、あとは社員の方が2人の合計4人で普段は賄われており、8haの畑は4人で面倒を見るにはちょうど良いサイズだと言う事です。
ニコラさんのプライドを感じさせるお話には、
「ブルゴーニュの伝統的なワインを守り、受け継いでいく」という強い使命感が感じられます
「春の朝日のような光輝くワイン」を意識しているそうで、セミナー中にも何度も輝きという言葉が登場していました。
中身が詰まっているけれど過度な抽出ではないワイン、まさにグロフィエのスタイルだと思います
2020年より以前には何より「長熟なワイン」を目指していたと言う事ですが、今はそれは誤りで、いつ飲んでも喜びのあるワインが理想だと思うと言う事でした。
低温浸漬を行い(発効前に低い温度で果汁に果皮を漬け込んでおく)非常にゆっくりとマセラシオンを行うことで、過剰にならないように良質のフェノールだけをワインに移すように仕込みます。
機械的な作業は極力行わず、ブドウを煎じるように醸す、と。
ブドウの状態に応じて全房発酵も取り入れており、発酵中は一切手を付けず、自然に任せているそうです。
どの生産者も言うのですが、ブドウが健全であることがまず第一です。
さらにニコラさんは、
技術は後から来るものであって、それを使わないという選択、ここでやめておく、という選択が非常に重要なのだと。
あれもこれもやってしまうのではなく、敢えてやらない、ということの重要性がグロフィエのワインのあのピュアさや透明感の秘密なんだろう、と思います
こういう事って実はとても難しいです
誰でも経験があると、ついつい予防措置を取りたくなったり、もう少し置いてみようかな、と思うはずなんです。
そこを引くことができる、っていうのは理想のワイン像がはっきり分かってるから、畑の仕事に自信があるから、なんでしょうね。
2022年は乾燥との戦いになったヴィンテージで、多くの区画でフェノールの成熟度は十分だった半面、水分不足で糖度が上がり切らずにアルコール度数はここ何年かの猛暑の年に比べるとやや低めとなったそうです。
(23年にブルゴーニュに行った時にも去年は水不足で畑が収穫前に黄色くなっていた、という話が多かったです)
しかし、暑い夏があった一方で、そのアルコール度数の低さが過剰な黒いワインにならないで済んだ救済的要因だったそうです
それが2022年の長所でもあるとの事。
確かに2018年〜20年までの暑くて収穫の多い年には、ドライなタンニンが目立った外観の黒いピノノワールが多いように思います
これがブルゴーニュ?っていうくらい、アルコールが高めだったり。
疲れるワインですね。
その点、グロフィエの22年ははっきりした骨格とち密さがあって、若く溌溂としてて強いのですが、とてもエレガントでした
あの赤くて透明な外観、甘酸っぱいラズベリーみたいな果実感、香りのボリュームもあって既に複雑さがある、素晴らしいワインです。
試飲はレザムルーズはもちろんなくて(ボンヌマールもある訳ない)、サンティとオードワの1級まででしたが、全て2022年で飲んでいないのでいい勉強になりました
ニコラさんが自身で撮影したドローンの映像を見ながら、区画の説明を非常に詳しくしてくれまして、それぞれの区画の特徴がとてもよくわかりました
レザムルーズに隣接するオードワは畑には境目がなくて同一の区画にしか見えません。
なるほど、こうなっていたのか!と納得の映像でした。
(区画の詳細な説明もありましたが長いので割愛します)
また、2022年から1級レザムルーズを2つのキュヴェに分けて別のワインとして瓶詰を行っていますが、10年ほど前から全く土壌が異なる区画のワインを別々にしたいと考えており、試行錯誤を経て22年に初めて分けることにしたのだそうです
レザムルーズ最大所有者でなけれなできない事ですね
グロフィエは株の粘土質の区画と上部の砂質の区画に丁度半分ずつの所有区画があったので、分けるにも丁度良かったみたいです
画像で見ると全く違う土壌なのがはっきりとわかります、池のそばと上部の区画では斜度も違うようです。
最近はグーグルでも区画の名前が載ってるんですね、便利〜 ↓
(「ヴージュ川」の表記の「ヴ」の辺りに池があります)
2つの区画を分けるに当たって、2022年は収穫も醸造も全てを同じにしたそうです
テロワールの違いを表現したかった、との事。
(しかし値段を鑑みて、飲み比べができる機会が来るんだろうか…)
ミツクラには在庫ありまっせ
2024年(今年)の多雨&日照不足からくる畑仕事の大変さへも言及があり、
「ヴィニョロンのプロフェッショナルとして絶対に収穫量を落としてはならない」という発言には、そうは言っても自然が相手だしねぇ…と決意に脱帽です。
こういう情熱があの素晴らしいワインになってる訳です
最後にグロフィエを飲む方へ、
ニコラさんから大事なアドバイスです
ヴィンテージの3年から8年の間は飲まない方がよい、ワインが長熟型へと変貌してる最中だから。
(所謂寝てるって事ですね)
どうしても開ける場合は前日に抜栓することをお勧めします。
そして、デキャンタ―ジュは決して行わないでください
どのワインでも、いつでも絶対にダメです。
そういう作りをしていないので。
です。
ブルゴーニュに限らず、ピノノワールにはあまり空気が必要なワインはないのでデキャンタは要らないですね
値段のことを考えると、気楽に飲むワインではありませんが、グロフィエは素晴らしいワインをこれからも作り続けてくれるだろうと思います
5年前に飲んだような会はもうできないだろうなぁ・・・ ↓
これらのVTでは既に特注瓶になってますね
…あの頃はよかった
質疑応答の途中でしたが退席するてんちょが最後尾で手を振ると、小さく振り返してくれました
「次に日本へ来るのは20年後くらいになるだろうから」って言ってました。
こっちから行くしかない〜
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