良く晴れている名古屋ですが、風が強くて寒いです
只今13時、外は日が差してますが雪も降ってます(すぐ止むでしょうけど驚き)
もう1週間も我慢したら寒さも終わりでしょうか、その後は花粉がわんさか来るんでしょうけど
今日はシャンパーニュのランソンをもう一度紹介します
2週間ほど前にセミナーに行ってきましたので、個別のキュヴェ等の解説も兼ねて。
歴史と余談は前回のブログで ↓
https://cave-mitsukura.seesaa.net/archives/20250107-1.html
セミナーはアジアマネージャーのマリアン・ジョフロワ氏が初来日で講師を務めてくれました。
ランソンには11年務めているそうで、ランソンの革新を進めた醸造家のエルヴェ・ダンタン氏と同じ時2013年の入社です。
セミナーでは、転売&転売の黒歴史には一切言及がありませんでしたが(そりゃそうだ)、今年英国ロイヤルワラントを外れたことには軽く触れていました
新生ランソンを率いるダンタン氏ですが、ランソン入社に当たって様々な要求をしたそうです
「これとこれはこうしないと自分はランソンでは働かない」
くらいの意思があったそうで、やはり改革を進めるにはかなりの覚悟が必要なんでしょう。
醸造家やCEOが頻繁に転職するシャンパーニュの業界では、引き抜き合戦も盛んに行われいますので、条件や環境の交渉は至極まっとうな事です
そのランソンの改革ですが、代表的な物が二つあります
1.単一区画ごとの醸造
ランソンでは自社畑を含めて100ものクリュからブドウの供給を受けています。
シャンパーニュ全体の3分の1の種類のブドウが集まってくるのですが、その膨大なブドウを全てクリュごとに別々に醸造しています。
そのためにサイズの異なる55ものステンレスタンクを誂え、個別の個性を持ったバリエーション豊かなヴァン・クレール(2次発酵前のワイン)を生んでいます。
ランソンは歴史が長い分、栽培家との付き合いは深く、いい信頼関係を構築できているそうです。
100のクリュの内、50%がプルミエクリュとグランクリュで、ベースワインのレベルの高さを誇っています
さらにランソンの特徴で有名なのが、ノンマロラクティック製法です
MLFを行わない事で、酸の豊かで長熟可能なシャンパーニュになってます。
ただ、全てのMLFをブロックしているのではなく、NVでは最大で25%程度は行うことがあるそうです。
ヴィンテージシャンパーニュは一切行っていません
2.シェ・ボワ(木樽貯蔵庫)
2014年から導入された新しい施設で、ヴェルズネイのプレスハウスと共に刷新されています。
ここでは、リザーヴワインを木樽で保管し、パーペチュアルレゼルヴとして各キュヴェにブレンドされています
このリザーヴワインですが、ランソンでは3種類のリザーヴを持っています。
一つはステンレスタンクで熟成されたものでヴィンテージ・区画ごとに保管されています。
二つ目は、ステンレスタンクで俯瞰されたパーペチュアルレゼルヴで、様々なキュヴェがブレンドされています。
三つ目が木樽のパーペチュアルレゼルヴで、二つ目と同じようにヴィンテージや区画のブレンドワインが毎年注ぎ足されています。
こういうブレンドのリザーヴワインは、シェリーのソレラシステムに倣っているメゾンも多く、より複雑な風味を生む手法として近年採用する蔵が増えています
ランソンでは瓶熟の期間も法定よりずっと長く、NVで4〜5年、ヴィンテージでは最低9年、プレステージでは15年という長さです
トップキュヴェのノーブルシャンパーニュでは、現行ヴィンテージが2005年という古さです
また、ランソンでは情報の透明性にも誠実です
全てのシャンパーニュの裏ラベルにはQRコードが付いていて、
蔵のスタイル
セパージュ
ブドウ収穫区画
ベースワインの特徴
収穫年とリザーヴワインの比率
MLFの割合
熟成期間
ドサージュの量
について詳細な情報を知ることが可能です
デゴルジュマンの日付やブレンドの割合などを表記する蔵は増えていますが、ここまでの情報を載せているシャンパーニュは他にありません
ランソンを手元にすることがあったら是非ご覧ください。
現在、生産されているシャンパーニュは7種類です。
1.ブラック・クリエイションNV
以前のブラックラベルです。
ラベルに小さく258の文字が書かれていますが、これは創業の1760年から数えて258番目のヴィンテージが主体であることを示しています。
258番目は2018年です。
ランソンの味であるピノノワールのフレッシュさがとてもよく出ています
a fresh touch of love これがランソンのモットーです。
(正直ちょっと??かも
loveは置いといても、フレッシュさというキーワードが新生ランソンには重要なのは理解できます
2.ロゼ・クリエイションNV67
ランソンでは1833年に初めてロゼを作っています、これはかなり早いですね。
それから67番目の2019年がベースになっています。
1と同様にかなり繊細で、余韻が非常にいい感じです
新しいランソンはどれも、瓶熟の長さからくるオートリーゼの香ばしさがあまりありません
やはりMLFをしてない分、酸が若く豊かだからでしょう。
フレッシュさが長く保たれる秘密でもありますね
こういうシャンパーニュが今後のトレンドになってくかも。
よりフレッシュ、繊細で軽やかだけど複雑で余韻が長い、という
スティルもですが、現在のワインのキーワードはエレガンスです。
30年前なら凝縮感だったんですが。
3.ホワイトラベル・セックNV
セック=辛口なんですが、ブリュットよりも甘いシャンパーニュです。
ドサージュが28gあるので、やや辛口〜やや甘口といった味わい。
酸が穏やかなので、和食に合わせてもいいですね
しかし、これは試飲がなかったので実際の味は不明(すんません)
4.ブラン・ド・ブランNV
フレッシュさを掲げるランソンの本領発揮といったキュヴェです
プルミエクリュとグランクリュが70%以上も入っています。
クリュも15区画使用しており、コートデブランとモンターニュドランスの両方のシャルドネの良さを持ち合わせているそうです。
5.ヴィンテージ2013
卓越した年のみ、生産されるヴィンテージシャンパーニュで、ランソンでは1874年から僅か12ヴィンテージしか作られていません。
2013年は地域によっては雨の多い年なのですが、日照には恵まれており、9月後半から10月と過去30年では最も遅い収穫ですが、ブドウの熟度も十分だったようです
酸の高さが特徴とされていますが、飲んでみるとそうは思えません。
まだとても若い印象で香りもフレッシュで、ややアニスの様なニュアンスがあります。
6.ノーブル・シャンパーニュ2005
プレステージシャンパーニュで100%グランクリュで1979年に初めて作られたノーブルキュヴェの後継です。
ピノノワールがメインのランソンですが、シャルドネでも質の高いシャンパーニュが出来ることを証明するべく生まれたキュヴェです
70%がシャルドネですが、17年熟成とは思えない新鮮な印象です
コーヒーやモカの様な香り、という説明がありましたが、確かに少しあるかも
存在感があり、さらに成長の余地がある、いいシャンパーニュです
7.ノーブル・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン2005
こちらはシャルドネ100%のプレステージキュヴェです。
さすがのレベル、これが一番酸がはっきりしています。
これもまだまだ変化の可能性がある「上り坂」の途中です。
名古屋のワインショップカーヴミツクラの店長のブログです


