2025年06月16日

ボランジェの存在


いきなりになりましたね
暑い〜 ナゴヤの気温は36度らしいですが街中はもっと高いはず
梅雨はどこ行った??



今日は先日出席しましたボランジェ・マスタークラスの内容を簡単に紹介します

IMG_4788.jpg

値上がり激しいシャンパーニュ、市場でも売れ行きが良くないようですが、世界的にはまだ余裕があるようです。
とほほ…
日本はもう凋落の一途、スペイン行ってひしひし感じました。
私のような一般人の経済観って政治家と官僚には無関係なんでしょうか、何とかしようと思わないのか


大手メゾンは利益追求もさることながら、ターゲットを絞って富裕層により一層働きかけようとしています。
理屈だけで言うと、質の良いものができれば価格が倍になっても生産は半分で済む訳ですし、
より良い物をふさわしい価格で共感してくれる(そして購買可能な)人に、ってことですね

サロンが正にそうした路線を早くから打ち出しており、2008年のサロンはマグナムだけの限定生産で販売してることはよく知られていると思います
作柄が悪いからの生産減ではなくて、良いからこその戦略的な限定、です。
最初はセットで100万円でしたが、今ならもっとするんでしょうか
もう貧乏人にはついていけません

そんな中、ボランジェの勉強の機会がもらえてありがたいです



ボランジェ.png
HPより、以下同様

正面入り口、この地下にもセラーが広がっています。

さて、007=ジェームス・ボンドのシャンパーニュとしても有名なボランジェですが、2029年には創業200周年を迎えます
それに向けて、今メゾンでは様々な改革が進んでいます。

まず、2026年完成予定でセラー(樽貯蔵庫)を拡大しています。
現在発酵樽3000個の容積を5000個まで対応できるようにするそうで、セラーから畑を眺めながら試飲したりできるそうです

合わせて2027年にはセミナースペースやテイスティングスペースを備えたヴィジターセンターを建設しています。
よりボランジェの理解が深まるようなツアーや、充実したブティックも建設予定です

更に2028年にはホテルを開業するんだそうです
5星クラスの20部屋ほどのホテルで、パリに帰らなくてもシャンパーニュで優雅な時間を過ごせるようにしたいと。
ホテルにはレストランも当然ありまして、ミシュランの1つ星を狙うそうです。
こういうメゾンは他にありませんので、シャンパーニュファンの良い話題になるでしょう

ボランジェがこうした取り組みに積極的に動けるのは、やはり家族経営だからという事が大きな要因です
コストがかかりすぎることが容易に許されないのが一般のメゾンである一方で、資本家がが介在していませんのでボランジェでは家族の意思でこうした事が決定可能だというのは大きな強みです

何より、ボランジェの特異なところは、
一次発酵は樽発酵で行う
リザーヴワインの保管はマグナムボトルで行う

この2点、でしょうか

クリュッグやジャクソン、アルフレッドグラシアンなど樽発酵の蔵は他にもありますが、
リザーヴワインをマグナムボトルに詰めて保管するという、ものすごーく面倒な事をやってるのはボランジェだけです

最初聞いたときに「はー??」って思いました
2006年に訪問した時には地下にずらーっとボトルが積んであって、二次発酵中のボトルとはまた別のスペースが広がっていました。

なんで?と聞くと、
酸化の具合がワインに耐性を持たせてより長熟可能になるから、だそうです
そういうものでしょうか??
私なら、空気にはなるべく触れないで保管したいと思うし、ボトルに移す手間も作業の間のリスクも怖いけど(素人)


伝統を守り続ける一方で、進化もしています

今年には自社畑180haすべてでオーガニックの認証を受ける予定だそうです
現在まで140年続く英国王室ロイヤルワラントも保持し続けています。
国際認証B-CORPも取得し、人と社会、環境に配慮した事業者であり続けています。

そして、2015年から新しいピノノワールの取り組みとして、PNシリーズを発売しています

PNVZ15
PNVZ16
PNTX17
PNAYC18
PNVZ19
(これが現行品です ↓)

ボランジェ3.png

数字がついていますがヴィンテージシャンパーニュではありません。
これはボランジェの重要な要素であるピノノワールにフォーカスしたワインで、その年の良いピノノワールを厳選して、中心となる村の名前のイニシャルと共に生産された特別なキュヴェです

グランダネの下に位置するシャンパーニュで、
食事との相性を考えたリザーヴとのブレンド、複雑な香りで余韻の長いスタイルです
これなら2万円ちょっとなので、まだ買えますね

市場のトレンドはシャルドネ、ブラン・ド・ブランなのですが、ボランジェはそれには乗らない、とはっきり言ってました。
良いね〜


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試飲3種

見づらいですが、ピノノワールなので色がうっすらピンクというかオレンジというか。
コクがあります、これぞピノノワールです

最後の試飲は、とても貴重なコート・オー・ザンファン2013

この名前を聞くと「赤ワインじゃないの?」って思う方いると思います。
ですよね、コトー・シャンプノワと同じ名前でシャンパーニュも作り始めたんです
2012年からなのでまだ2ヴィンテージ目です。

コート・オー・ザンファンとはボランジェのあるアイ村の北にある区画の名前です

ボランジェ1.png
これは南斜面

石灰質の急斜面の単一区画で、ここの北側のピノノワールだけを使って作られています。
南側は赤ワインのコート・オー・ザンファンになったり ↓、ロゼの原料に使われます。

ボランジェ2.png

3代目当主のジャック・ボランジェがこの土地の特異性に目を付け、いつか単一区画のシャンパーニュを作りたいと考え、区画の買収に乗り出します。
当時はばらばらに所有されていた畑を少しずつ買い足して、ついに単一区画にします

僅か4haの内で、南斜面の2haのピノノワールは早くから赤ワインになっていましたが、ついに北西向きの区画2haのピノノワールを使ってシャンパーニュが作られたのが2012年です。

全てコート・オー・ザンファン用の設備を使って醸造、熟成を行っています。
10年以上の年月をかけて市場に登場この希少なシャンパーニュ、お値段195000円税抜ですって


試飲の13年は昔のアンシャンテルールみたいでした
グラスよりも口の中で爆発するような香りのボリュームがあります。
変化していくのが楽しいです。
こういうピノノワールは大好きです
…20万円かぁ


ボランジェが嫌いな人は少ないと思います
NVのスペシャルキュヴェでも十分美味しいです。

値段はもう下がらないだろうから、どうしましょうかねぇ〜



















posted by cave MITSUKURA at 14:32| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする