2026年07月09日

パイパー・エドシックセミナーに行ってきました


急に真夏になりました
朝から日差しが強くて照り返しがまぶしい、もう梅雨明けですね


昨日はシャンパーニュ、パイパー・エドシックのセミナーに行ってきました
いい機会をいただけましてありがたいです。

先月マリリン・モンローのシャンパーニュで紹介しましたパイパーです ↓
https://cave-mitsukura.seesaa.net/archives/20260611-1.html


醸造責任者のエミリアン・ブティエ氏が3年ぶりに名古屋に来てくれました ↓

IMG_5777.jpeg

情熱のある方です、先を見据えた取り組みや伝統を守りつつスタイルを維持する工夫を続ける、など、新しい世代としてトップの人物の一人です
シャンパーニュも変わっていくのは当然ですが、この先どうなるでしょうか。

何度か書いていますが、
パイパー・エドシックは創業者のフローレンス・ルイ・エドシックがマリー・アントワネットに謁見して自分のシャンパーニュを献上した、という話が有名です
1785年5月6日とはっきり日にちが分かってます。
それ以来、アントワネットに愛されたブランドとして広く宣伝されてきました

現在、別ブランドになっています「レア・シャンパーニュ」がその象徴として「ティアラ」と「リング」を模したデザインになっています ↓

N7155_G08.jpg

(レアは元々はパイパー・エドシックの最高級キュヴェでしたが、7年くらい前?に別のブランドとして扱われるようになりました。しかし、ブドウの供給や生産はパイパー・エドシックです)
因みに、見た目も中身も素敵なレアですが、2013年で44000円にも値上がりしてしまってます…
あれま〜


1830年にフローレンスが亡くなると、甥のクリスティアンが(他二人の甥と)いとこのアンリ・パイパーと共に事業を継承します。
これが現在のパイパー・エドシックの起源です。
このアンリ・パイパーさん、かなりのやり手だったそうです、ヨーロッパだけでなくアメリカでも販売を広げ大成功しています

セミナーでは当然触れられませんが、現在ある他の二つのエドシックももちろん同じ起源です。
1860年にパイパー・エドシック社は「モノポール」というブランドを確立、これが今のエドシック・モノポールでエペルネにあります。
1851年にはシャルル・エドシック社が設立されています。
元の3人の甥がそれぞれ事業を継承して別れたという事です

因みに、エドシックの一族はドイツ、ウェストファリアの出身でランスの大市で毛織物などを販売するエドシック商会という会社をフローレンスが作ったのが、シャンパーニュ作りへの縁になっています
フローレンスのお父さんはルター派の牧師だったそうです。


話を戻して。
セミナーでは、パイパー・エドシックの新しい取り組みが興味深い話でした

パイパーでは、シャンパーニュのメゾンで初めてBcorpという認証を2022年に取得しています。

環境負荷を減らし持続可能な農業を推進する、というのは他のオーガニック等の認証と同じですが、このBcorpではほかにも社会的責任を負うことが求められており、電力や水の使用方法はもちろん、男女の雇用の平等性や、地元の産業への貢献、透明性のある経営まで認証の条件とされています
お見事。

ヨーロッパでは投資家が生産者のこうした側面を重視していますので、企業としては必然の姿勢という感じです。
もっとも、パイパーは個人オーナーで株式公開していませんので投資家の事は考えなくていい、という利点があります。
(もちろん世間の評価は大事)
理想を追い求めるのに、コスト削減や利益追求を第一に据えなくていいのはいい事ですね
うらやまし〜

社会的な宣伝(失礼)の一方で、内部的には気候変動への取り組みが求められています
今年の熱波は相当ひどいようですが、年々早まる収穫、遅霜、雹、など30年前ではなかった心配事が増えています。
熟度が上がるのはいい事ですが、シャンパーニュの様に二次発酵を経て何年も熟成させる必要があるワインは、最初のブドウの酸度が落ちないようにするのが非常に重要です

酸味があっても糖度が高い、香気成分もある、という状態で収穫するのが理想なのです。
ですからより冷涼な畑、東や北向きの斜面が再評価されつつあります

酸が乏しいと味がぼやけるし、寿命が短くなる、っていうのが最大の懸念です

しかし…
この頃はどのメゾンでもみーんな、「フレッシュ」「爽やか」「エレガント」がキーワードになっていて、すっきりさっぱりばっかりですね…
でもねぇ、みんなが同じ方向に向くとつまらないので、
昔ながらの「こってりシャンパーニュでいいんじゃー」っていう頑固爺さんとか、いませんかねぇ



合わせて、パイパーでは、新しい品種ヴォルティス(Voltis)の栽培も試験的に行うようです

これはフランスで開発された病害に強い白ブドウのハイブリッド品種です。
カビに強く、農薬(殺菌剤)の使用を大幅に削減できる環境に優しい特徴を持ち、2021年にシャンパーニュ地方で8番目の認可品種として試験的に認可されています。
正式認可されるかにはもう少し時間が必要ですが、環境や気候の変化に対応した品種を取り入れることは必要だと思います。

他の7つの品種は知っていますか?
シャルドネ
ピノノワール
ピノムニエ
ピノグリ(フロマントー)
ピノブラン
アルバンヌ
プティメリエ
です


そして、パイパーではヴィティボットと言ってロボットの導入も研究しています
ブドウ畑での作業の効率化を図り、よりピンポイントでのケアができるようにすることを考えているそうです。
人材の有効活用や、将来的な労働力不足に備えて、の側面もありそう。

ビッグデータを活用すべく、膨大なブドウのデータやワインの分析などを集積したソフトウェアも開発してるそうです

シャンパーニュ作りもIT化されてきていますね
デジタル・シャンパーニュとか言って


コロナ後に大復活したシャンパーニュですが、価格の高騰で現在はやや低迷気味かも…
しかし、長いスパンで考えた戦略がこうした大手メゾンにはあって、着実に前進してる感じです
頼もしい。



試飲は6種類

IMG_5779.jpeg
右のマークがBcorpです

IMG_5775.jpeg

普段飲むことが少ないビンテージまであって大変嬉しい。
普通のブリュットと熟成の長いエッセンシャルでは、やはり違いますね〜
あんまり違わないかな、などと思ってましたが全然違った

ロゼが薄オレンジ色でした
昔のロゼは赤ワイン比率が高くて(今の倍)、真っ赤でしたので、変わったなーと。

ヴィンテージは2018,18年は質、量ともに成功していますので、シャンパーニュ好きにはおすすめしたいです
ポテンシャルが高くておいしいです。
「固い」という意見もあるようですが、てんちょはそうは思いませんでした
美味しく飲めます。

どのシャンパーニュも、口の中でボリュームを感じます
香りが膨らんで余韻が長く、いいシャンパーニュです
飲んだ方が香りがはっきり分かるかも。
生き生きしてますね、何度も出てくる「フレッシュ」さが良く分かります。

値上がりして気軽に飲むものではなくなってきたシャンパーニュですが、なくてはならない存在でもあります

今月の試飲会にはマリリン・モンロー出そうかと思います


















posted by cave MITSUKURA at 14:21| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする