晴れて気持ちがいい、はずなのに…
黄砂のせいか喉がイガイガする

今日は昨日の続き。
カレラです


カレラはアメリカ人のジョシュ・ジェンセン氏がカリフォルニアで1974年に開いた蔵です

彼はオックスフォード大学を卒業後、世界を渡り歩き、DRCやデュジャックで働いていました。
70年代のカリフォルニアには高品質のピノノワールは皆無でしたが、ジェンセン氏はアメリカでもブルゴーニュの様なワインを作りたいと思い、帰国してワイナリーの為に様々な調査をしました

それには二つの重要な要素が必要だと考えたジェンセン氏。
一つは、土壌

石灰質の土壌である事がピノノワールには非常に重要ですが、カリフォルニアには例えばシャンパーニュの様な白亜質の土壌はあんまりない。
(そこで衛星画像を使って土壌の調査をしたのは有名な話)
もう一つは、本物のピノノワールを植える事

これは、当時のカリフォルニアではガメイをピノノワールとしていたワイナリーがあったり、エレガントなスタイルのピノノワールがアメリカ人にあまり人気がなかったことから適切な場所に植えられていないピノノワールがあったりと、環境も含めてちゃんと扱われていなかったことから、正しいクローンで最適な環境でピノノワールを栽培すれば必ず素晴らしいワインが出来る、という彼の意思を実践するために必要不可欠な要素でした。
この「正しいピノノワール」は現在のカリフォルニアではカレラクローンなどと呼ばれ、ディジョンクローンが広まるよりも早く、キスラーやハイドにも伝わっていたという伝説のブドウです

そうして、74年にマウントハーランに石灰質の土地を見つけたジェンセン氏はその土地を購入、75年に初めてピノノワールを植えました

更に隣の砕石工場を買い取り、そこを醸造所にしました。
(これがほんと簡素で吹きっさらしのパーパーな建物なのね、今はちゃんとセラーもありますが)
カレラという名前はスペイン語の焼き窯の事です。
買った土地にあったのでそれをワイナリーの名前にしたんですって

(ポルシェの「レース」のカレラとは違うんですね、そっちもスペイン語のはず)
そして初ヴィンテージは1978年

マウントハーランの3つの区画、ジェンセン、セレック、リードを1樽ずつ醸造しました

ジェンセン氏はこのワインを80年代の初頭まで、自ら携えて全米を回り、レストランやワインショップに売り込んだそうです

そう言う事もちゃんとやってた。
地道な努力が実を結び、ワインの評価が高まり人気になるのも早かったみたいです

もっと後になってですが、日本への輸出も始まりましたが、「あの漫画」(てんちょ未読)で知名度が上がったからなんだそうです

へー

HPより
↑ 残念ながらジェンセン氏は昨年鬼籍に入ってしまいましたが、蔵はダックホーンが受け継ぎ、ワインメーカーのマイク・ウォラーさん(2007年から彼らで働く)と共にワイン作りは続いています

歴史はこんな感じです。
では、カレラの場所を見てみましょう

カレラのあるマウントハーランという名前は聞いた事があるのではないでしょうか?
実はてんちょ、アメリカのAVAはあんまりよく分かってない


(なんかピンと来ないというか、実感が掴めないんだよなぁ)
マウントハーランはカリフォルニアのセントラルコーストにあります

サンフランシスコの南に大都市サンノゼがあって、その南にモントレー湾があります。
湾の北にサンタクルーズ、南にモントレーの街がありますが、そこから内陸へ100キロ弱の場所がマウントハーランです。
砂漠の真ん中にあるような荒涼とした場所でとても乾燥しています。
海風が吹き付ける土地ですが、カレラは標高が高いので日照条件が良く、日較差も良質のブドウ栽培に貢献しています

カレラで一躍知名度が上がったマウントハーランですが、独自のAVAとして認定されていますが認定時にはここにあるワイナリーはカレラ一つでした

カレラの為に出来たAVAと言ってもいいくらい。
ここ ↓

ホント周りは何にもない

夜に車で行くと怖いらしい…
崖があってガードレールもないとか、もちろん街頭なんてないない、転落したら当分発見されなさそう

しかし、アメリカのAVAって増える一方ですね

ワシントンやオレゴンもちょっと見ない間にすっかり浦島太郎だわ。
さー、やっとワインの話。
今回入荷した3つの単一畑は、マウントハーランの丘の各所にあります。

HPより
今日は触れませんがシャルドネやヴィニエもあります。
ジェンセン
リード
セレック
ミルズ
ライアン
ド・ヴィリエ
と、現在6つの単一区画のピノノワールがあります


HPより、ジェンセンの区画、結構起伏がありまsね
この6つの区画は全て人の名前です

土地の前の所有者だったり、元の醸造長だったり、所縁のある人の名前を取っています。
入荷した3つのワインを簡単に紹介すると。
ライアンは98年が初ヴィンテージのカレラの中では若い区画です。
西向きで標高が高く、酸味を備えつつジェンセンにあるような果実感も増した、複雑なワインです

洗練されています
ミルズは84年植樹の区画で、唯一自根の畑です

ちょうど今半分を植え替えしてる所で、生産が半減していますが次の植樹からは接ぎ木する予定だそうです。
古典的で古いブルゴーニュにも通じるスタイルです、ガビラン山脈の冷涼な気候を反映しています
ド・ヴィリエは最新の区画。
ジェンセンとミルズの間にあるので、初めはどちらかにブレンドしようと思っていたところ、
独自のフルーツ感があり混ぜるのはもったいないと2007年から単独でリリースしています

確かに果実バリバリ。
3つの中では一番甘く感じます。
全てピノノワール100%の赤ワイン。
とてもエレガントです、が、やはり少し甘いね

飲むべきワインの一つです
