2023年06月17日

本当の辛口とは


梅雨が明けたかのような快晴です
昼間の気温は高いですが、少し風が通って爽やかなのはいいですね。



先日、セミナーに参加したドイツのベルンハルト・コッホですが、ワインが少し入荷して来ましたので、
これを紹介します


ですが、ワインの紹介の前にドイツワイン新法について。

ドイツのワインの規制は2021年に大改編がありまして、現在は新制度への移行期間に当たります。
改変された規定は2026年産のワイン(ラベル)から適応されますので、現物を確認するのはまだ数年先になります

指定栽培地域などの大枠は変わりませんが、これまで最上級のプレディカーツヴァイン糖度によってランク付けされていたのが、ブドウ畑の所在地による格付けへと変更になりました。
しかし、この産地呼称のランク付けは馴染みがない上に、単一畑=Einzellageという上位ランクの中に、エアステス・ゲヴェックス(フランスの1級畑に相当)、グローセス・ゲヴェックス(フランスのグランクリュに相当)というややこしい名称が与えられており、ちゃんと機能するのが心配でもあります
そしてこの上級ワインは全て辛口でなければいけません。

そのプルミエクリュ、グランクリュの中身は?
具体的にどの畑になるんだ??

さらに、このゲヴェックスなる呼称は任意団体のVDPが既に使用しているので、規定を満たせば継続使用可能らしいけど、どうなるんだ?
アイスワインやTBAは主流でなくても需要はあるだろうし、大切な伝統なんだから残すべきだと思うけど、どこに入れられるの?

…書いてる自分が混乱してきたわ

実は、今現在が移行期で、ドイツの各産地の団体がまだ中身を詰めてる段階の名称もあったりして、
全然、全容も細部も分からないー

もう少し頑張ってみます




ワインはこちら
 
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ベルンハルト・コッホ リースリング・クラシック2021

ドイツ、ファルツの辛口の白ワインです
リースリング100%

セミナーでの試飲はこれじゃありませんでしたが、その前に営業さんが持ってきてくれた試飲で感動したので購入しました

コッホの説明は前の記事をご覧ください ↓
https://cave-mitsukura.seesaa.net/archives/20230607-1.html

このリースリングは、かなりスッキリした辛口です。
優しい・やや辛口ではありません

しかし、香りが非常に良いのです

最近のリースリングは、アルザスが特にそうかもと思うのですが、早くからブケの石油香がしたり、何だかゴムに入れたのか?って香りだったりと、全然良いと思えないのです

先日のコトー・デュ・ジェノワでも書きましたけど、みーんな同じ方向向いててつまらないです。
ソーヴィニヨンブランがほぼ、パッションフルーツなのと同じで、リースリングは、ほぼ、石油かゴムだわ

そこへいくと、今日のワインはちゃんとフルーツのアロマがあります

「洋梨、白桃、りんご」のリースリングにあって欲しいアロマがあって、ボリュームある香りです
こう言うの、今どき珍しいくらいです

低温(8度)で6時間スキンコンタクトしてるからでしょうか。
味がすっきりなのは、樽なし、熟成6ヶ月の若さだから、一層そう感じるのかも。
酸も沢山ありますし
それが程よいブドウの糖分とバランスが取れていますね。

非常に洗練されています

気軽に飲めるお値段なので、是非飲んでみて欲しいです
今日みたいな、暑くて爽やかな日にはピッタリですよ〜



店頭にはありませんが、セミナーで試飲したもう一つのリースリングの話を紹介しておきます

コッホでは同じ2021のリースリングで、Z(ツェット)というクオリテーツヴァインも作っています ↓

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Zと言うのはベルンハルトさんの昔からの友人で、辛口リースリングの大の愛好家の男性の愛称です。

このリースリングは糖分がほぼない、かなりキレのある辛口です。

昔のリースリングは強すぎる酸を隠すために、ある程度の糖分を残して発酵を終わらせるようにコントロールしていました。
その方が美味しいと考えられていたんです。
どこのドメーヌでもそうしており、やや辛口のリースリングが普通だったんです

記憶にあるお客様もいるのでは??

しかし、このZさんは、
「ワインの質を甘さで隠す必要はない。俺は本当のリースリング トロッケンが飲みたいんだ!」
と言い続けていたそうです。
2008年に初めて発酵が進んで残糖なしのリースリングが出来た時に、ベルンハルトさんは「こんなに酸っぱいワインが売れるんだろうか」と心配したそうです

そこで、ワインの名前を考える時に、幼馴染をを思い出し、
「希望通りの辛口を作った、売れなかったらお前が責任を取って全部買ってくれ」
という思いを込めて「Z」と名付けたそうです(笑)

心配をよそに、ワインはちゃんと評価されて生産が続いています

辛口嗜好が当たり前の今では意外なくらいの話ですね〜
Zさんはさぞ喜んだことでしょう











posted by cave MITSUKURA at 16:56| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年06月15日

ティエノ三昧


ちまちました仕事が多くて時間が足りない…
梅雨っぽい、はっきりしないお天気の今日



火曜日のティエノ・セミナーは楽しかったです

ラガルドさん(ジェフさん)がとても気さくで、とても良い内容のお話しが聞けました
2万円越えのプレステージキュヴェを3つも飲めて幸せでした〜

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どれも溌溂としたシャンパーニュでした

生き生きした泡立ち、はっきりしたアタック、
全て少し若かったかなぁ
レギュラーのキュヴェでも半年待てば全然違うと思います。
泡の持ちが良いので尚更。

08年でもまだまだな感じ。
もう少しした方がいろんな要素が調和して、余韻にもっと深みが増すであろう、高いポテンシャルです

ティエノはまだ創業40年未満の若いメゾンなのに、細かい拘りを妥協せずに貫いていていいですね
確かに多くの大手メゾンが200年300年と長い歴史がある中で、新たなメゾンを立ち上げようって、かなりのチャレンジャーです。
それもあって応援したいですね〜

3つのF
フレッシュネス
フルーツ感
フィネス

をキーワードにしています。
(最後のフィネス=Finesseは、洗練度や上品さを表すテイスティング用語です、フランス語でも同じ)

裏ラベルには詳しい情報が記載されています ↓

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ティラージュやドサージュの記載があるなら、デゴルジュマンの日付も書けばいいのに
書いてないのが不思議だ。

テイスティングにはなかったですが、1999のヴィノテークが飲んでみたい
また、秋には特別なマグナムボトルが限定販売されるそうで、それも是非買いたいです

やっぱりシャンパーニュはいいですね

また、どなたか来てくれないかなぁ〜









posted by cave MITSUKURA at 17:00| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年06月13日

ジェノワってどこだ


今日はシャンパーニュ・ティエノのセミナーです

晴れてよかったですが…
もんのすごく蒸し暑い〜

先程、講師のラガルドさんがご挨拶に来てくれました
日本語お上手で笑顔の素敵な紳士です。
上級キュヴェも入れて6種類も試飲できるの、楽しみです


セミナーの報告は又にして、今日はこのワインを紹介します

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ブノワ・ショヴォー コトー・デュ・ジェノワ ブラン カリケール2022

このワインの産地がすぐに分かったあなたは、かなりのワイン通ですね
聞いた事ある、って方も含めて、どのくらいいるでしょうか??

今日のワインは、フランス、ロワール地方の白ワインです。
ソーヴィニヨンブラン100%の辛口。

コトー・デュ・ジェノワはロワール河の最も上流にある、サントル・ニヴェルネのAOCです
サンセールの対岸にある、プイイ・ヒュメの北、と言えば分かる方が多いのでは。

ここです ↓

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赤丸で囲んだ場所がコトー・デュ・ジェノワ

この地図、ロワールワイン委員会の地図です。
とても詳細なので便利です

が、流石に貼り付けだと細かすぎて見づらいですよね。
ちゃんと見たい方はこちらをどうぞ ↓
https://www.vinsvaldeloire.fr/sites/default/files/block_image/carte-vignoble-val-de-loire-2019.pdf

基本的な事を復習
フランスで最も長い河川であるロワール川流域には沢山の産地があります。

大きく4つの地域に分類されており、河口から、

ペイ・ナンテ(ミュスカデ)
アンジュー・ソミュール(サヴィニエールやソミュール。ボンヌゾーなど貴腐の産地もある)
トゥーレーヌ(ヴーヴレイ)
サントル・ニヴェルネ(サンセールやプイイヒュメ)

と並んでます(カッコ内は主要なワイン)。
今日のワインは一番上流の地域にあります

ロワール地方にはマイナーなAOCに加えて、生産の少ないIGPも沢山あるので、
なんじゃそりゃ?
という無名のワインも、まま、あります

もはや、カンシ―メネトー・サロンなんて普通。
コトー・ド・タネ
ピュイ・ド・ドーム

↑ てんちょ、これらのワインは一度も見た事ありません


話を戻して。
今日のブノワ・ショヴォーはプイイ・ヒュメにあるドメーヌです
ご当主のブノワさんは1969年生まれで実家のブドウ畑を受け継ぎました。

ショヴォー家はこの地で19世紀から5代に渡るブドウ農家ですが、1995年まではブドウ畑は小作人に貸し出し、ブドウは売っていました。
それをブノワさんとお父さん(そして奥様)がドメーヌ元詰めを始めて、現在に至ります。
なので醸造の歴史は30年未満ですが、ワインはとても繊細で美味しいです

こんなご家族 ↓

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主要ワインはプイイ・ヒュメですが、サンセールの他にシャスラで作るプイイ・シュル・ロワールや今日のコトー・デュ・ジェノワも生産しています

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いいブドウ、HPより

今日のワイン、カルケールと名付けられていますが、これは区画の土壌が石灰岩質であることを意味しています
同じコトー・デュ・ジェノワのシレックス(=火打石)というワインもあるんです

実はこのシレックスを試飲してとてもいい香りだったので、カルケールも買ってみたんです

収穫後のブドウはアロマを保存するために低温でそっと置かれた後に発酵させます。
澱と一緒に6ヶ月以上も熟成させていますが、フレッシュさを重視してMLFはなし。

樽も使っていないので、ブドウ由来の香りが溢れる美味しい爽やかワインになっています

最近のソーヴィニヨンブランって青いのばっかりで、みーんな全部パッションフルーツなのが嫌なんです

そこでいくと、このコトー・デュ・ジェノワは青りんごや洋ナシの香りがあって、フルーツ感がとてもいい
甘さを連想できるフルーツなのが嬉しい。

こういうソーヴィニヨンブランって、最近ホントにないんです

味は清涼感ある辛口で、キレイな酸があります
冷やして飲めば今日みたいな日には最高でしょう

お値段は2000円前半と非常にお手頃です
気楽に飲めて香りよし、コスパいいですよ〜


ぜっひお試しください












posted by cave MITSUKURA at 16:33| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年06月11日

ティントレラではないけれど


予報通りの雨ですが大雨ではない名古屋です


ニュース欄にも記載しましたが、
6月26日月曜は臨時休業致します

設備工事でどうしても営業できません。
どうかご注意ください。
せっかく来てくれたのに、やってなーいと言う事がありませんように祈ってます




今日はこのフルボディの赤を紹介します
気温が低めの日なら美味しく飲めそう。
(と言っても、フルボディ好きな人は夏でも和食でも真っ黒万歳かなぁ)

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アテカ アッテカ オールドヴァイン ガルナッチャ2020

今日のワインはスペイン、カラタユド産です
この産地知ってる方少ないだろーなー

アテカ、というワイナリーがアッテカというワインを作っていますので、ややこしい?

ワイナリーはスペイン各地に蔵を持つ、ヒルファミリーグループの一員です
ミツクラの店頭でも人気のアタラヤを作ってるのもヒルファミリーです。
2000年以降に大成長した新しいワイナリーグループですが、規模もワインの質も年々伸びています

…余談ですが、ヒルファミリーはスペインの企業です。
なので社名もスペイン語で、GIL FAMILYと書きます(ファミリーは英語だけどさ
ジル、って書いて「ヒル」と読みます。
因みにジョージ=gorge は「ホルヘ」です。


まずは産地。
カラタユド、って少し言いにくいかも

カラタユドはアラゴン州の南部にある街です。
アラゴン州の州都はサラゴサ
前に、カリニェナという産地でも紹介しましたが、その東隣がカラタユドです ↓

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世界遺産のクエンカも近いと言えば近い。
(↑ いや、どこが)近くないねぇ

カラタユドはカリニェナと並んでアラゴン州の主要なワイン産地で、古木のガルナッチャが多くある事でも知られています
余り肥沃な土地ではなく、夏は大変乾燥するのでブドウ栽培には向いています。


アテカの畑は標高700〜1000メートルにもなる高地にあります
(ワイナリーの名前は地名です、ハロン川沿いの村)
ラベルにも書かれているような樹齢の高いガルナッチャが植えられていますが…
写真ないなぁー

流石の近代的なワリナリーですが、お見せ出来なくて残念

ワインは収穫後ステンレスタンク発酵の後、フレンチオークで12ヶ月ほど熟成されます。
コート・デュ・ローヌ南部のグルナッシュとは違って、黒紫の外観にスパイシーな香りのフルボディです
アルコール度数も15%なので、かなりどっしり、飲みごたえがあります

しかし、ワインは洗練されていますよ
いいブドウを厳選したであろう事が容易に感じられるくらい、良いバランスです。

お値段は普通かな、野口君3人と少し。
内容を考えればこんなもんでしょう
お買い得ですよ。



最後に品種の話。
アテカではありませんが、DOカラタユドの公式HPからガルナッチャの写真を拝借 ↓

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このガルナッチャという品種は、今ではフランス読みのグルナッシュの方が有名になってるくらいですが、元はスペイン原産です
今日のアラゴンが原産地とされています。

ピレネーを越えて南仏に伝わり、そこから広まりました。
フランス以外でもイタリアやブルガリア等ヨーロッパで広く栽培されています

個人的にグルナッシュが好きなわたくし
流石にこのアッテカはフルボディ過ぎますが、グルナッシュのジューシーでふくよかな所がいいなと思うのです。


おまけ
*タイトルのティントレラ(英語だとタンテュリエ teinturier)と言うのは黒ブドウで中身まで色がついてる品種の事です。
普通の黒ブドウは、巨峰やピノノワールの様に皮が黒紫色でも中身は黄緑で果汁は白になります。
しかし、ティントレラ品種は果肉まで紫色をしていますので、果汁が赤紫色です。
従って非常に黒く濃厚なワインになるのです。
ヴィニフェラではティントレラ品種は少ないのです。













posted by cave MITSUKURA at 14:21| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年06月10日

サロン好き?


今日は曇りですが,、また明日から雨です
梅雨時ですし、こんなもんかもしれませんが、湿度が高いと不快ですねぇ

ヨーロッパから夏の日本にやって来る生産者はみんなこの湿度にびっくりするんじゃないでしょうか…
逆に、私は初めて冬のスペイン内陸に行った時は乾燥しすぎてて喉がすぐにガラガラになってしまいました



店頭にはサロン2012がまた3本だけ入荷して来ました
これで12年は最後だそうです。
ギフトボックスは廃止されて木箱のみです。

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当分飲んじゃいけませんよ〜、クリーミーになるのにここから10年くらいかかりそうです
そして、私は若いサロンが苦手…かも…



時間がなくてブログ書くの断念します
無念ですぅぅぅ







posted by cave MITSUKURA at 17:31| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年06月09日

シャブリす


晴れてきました
台風3号の影響はそれほどでもない名古屋です。


昨日のドメーヌ・セルヴァンのシャブリセミナーも無事に開催できました
てんちょ、お店番だったのでセミナーの内容は分かりませんでしたが。

ご当主のフランソワさんが非常に優しく、熱心な方でした

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日本がお好きなそうで、ドメーヌ・タカヒコを訪問した事があるそうで、北海道のワイナリーなど他にもいろいろとご存知でした
すごいねぇ
日本語が少し話せるというフランソワさん、にこやかな紳士でした。

グランクリュを含めて用意したワインが完売したのも嬉しかったです
その場でサインしてもらえるのはいいですね。
思い出になります。

でもね…
グランクリュは割り当てですので、仕入れも値段も今後はもっと厳しいかも

お客様のワインを拝借して ↓

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てんちょも個人的にお土産をいただきましたよ ↓

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キャップ

アディ〇スならぬ、シャブリス
ちゃんと後ろにセルヴァンの名前も入ってます。


来週はシャンパーニュのティエノです






posted by cave MITSUKURA at 18:07| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年06月07日

ドイツワインを知らずにワインを語るべからず


梅雨の合間の晴ですが、気温が30度になるとやはり暑く感じます
また、南方の海上ではまた台風が発生してるみたいですね、来週のティエノのセミナーは無事に開催したい〜

ちょっと勤務の関係でブログ書けませんでした。
6月もワタワタと過ぎていきそうな予感


昨日は業界向けのセミナーに出席してきました

セミナーはドイツ、ファルツ州のベルンハルト・コッホです

ミツクラの店頭には今、リースリング・ゼクトと赤のカベルネドルサ(ドイツの交配品種でドルンフェルダー×カベルネソーヴィニヨン)があります
美味しいですよ。

講師はコッホで10年も醸造責任者(ケラーマイスター)を務める坂田千枝さん(日本人)でした。
通訳が要らないので話が早くていいですね

勉強になるお話、いいお話が沢山聞けました


皆様、ドイツのファルツ州はご存知でしょうか?
ワイン法的に言えば、ドイツ国内に13か所ある指定栽培地域(BA=Bestimmte Anbaugebiete ベシュティムテ・アンバウゲビーテ)の一つで、ドイツでは2番目に大きな産地です。
(一位はラインヘッセン)
このBAはフランスのボルドーやブルゴーニュ、と言った大きな産地に当たります。

ドイツのワイン法は2009年、2021年と市場のニーズに合うように改正されています。
甘口よりも辛口、甘さの等級よりも産地や区画の詳細な指定が重視される昨今のワイン市場には、アウスレーゼやシュペトレーゼといった旧態の分類では間に合わなかったのです。
しかし、VDP、クラシックやセレクションなど、いまいち全体像が分からないし、ややこしくなっただけ(複雑と言えば聞こえはいいが)な気もする

今日はワイン法には立ち入りませんが。

ファルツ州はドイツの西部にある産地で、南にはアルザスと国境を接しています ↓

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wine of germanyより

ファルツは、ドイツ国内では温暖で年間降水量もほどほどな地中海性気候なので、ブドウ栽培以外にも農業に向いた地域です
さらに黄土主体にシルトが入り、石灰質を含む土壌が多く、国際品種の栽培に最適であることも大きな産地に発展している要因です

多くの畑が平地にあり、機械と手作業を効率よく組み合わせられる利点があり、それが土壌の相性の良さも手伝って、多くの生産者が自社で沢山の品種を育てていることにもつながっています

紅葉する畑が区画(品種)ごとに色違いになっていて美しい風景です ↓

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コッホSNSより、手前の二つの大きな建物が醸造所とセラーです


ベルンハルト・コッホは州の南部のハインフェルド村にあります。
人口わずかに1000人程度の小さな村なんで、地図上で検索しても出てこない

ここ ↓

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コッホで検索すれば出ます、流石


この村にあって、コッホは国際的にも知られた優良生産者です
南ファルツを代表する作りてとして成長し、現在では自社畑50haにもなる一大企業です。

創業は1911年(自社醸造を始めた年)ですが、一族のブドウ栽培の歴史は1610年から記録がある歴史の長い農家です。
現在の当主のベルンハルトさんが10代で蔵を継いだ時には自社畑は3ha程だったそうですが、急激に成長しています。
今は二人の息子さんも参画しています。

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輸入元HPより、右が坂田さん、二人の息子さんとベルンハルトさん

HPがドイツ語しかない…


ところで、
コッホのワインラベルには丸に十字が入って、上に突き抜けた矢印の様な紋章が書かれていますが、↓

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これはハインフェルド村の紋章なんだそうです

ベルンハルトさんの父親の時代まではコッホ家の紋章を書いていたそうなんですが、ベルンハルトさんは故郷のハインフェルド村を知ってもらいたくてこの紋章に変えたそうです
地元愛〜


さらに、コッホでは先述したように沢山の品種で、白も赤も、辛口も甘口も、スティルもゼクトも、色んなワインを作っているのですが、
これはベルンハルトさんが、
「どんな嗜好の人でも何か一つは気に入ってもらえるワインがあるように」と考えているから、だそうです

80年代、蔵を継いだ当時はドイツワインが売れない不遇の時代でした
それを経験しているからこそ、ベルンハルトさんは常にお客さんの事を考えてワインづくりをしてるんだそうです。
良質のワインを作ることはもちろんですが。

良い時ばかりじゃなかったヨーロッパワインの過去、苦労もしてる方が報われるのは傍目にも嬉しい

試飲は8種類 ↓

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飲んだことある銘柄もありましたが、本当に全部美味しいです
お値段も2000円台からとお試ししやすい。
いいピノノワールは流石にちょっと値が張りますが、それでも6000円〜8000円台です。

それぞれの解説はものすごく長くなるのでやめますが、個人的に興味深いと思った話をひとつ。

シルバーナーという品種は知ってますか?

オーストリア生まれのこの白ブドウはドイツでもお馴染みで、今はフランケンでよく栽培されいます
たいていのフランケンの白のトロッケンは、さっぱりした辛口ですが、
なんと、シルバーナーって酸が弱いんだそうです

えー、そうなの

なんか意外…
かなり切れのある辛口白しか知りませんよ。
アルザスでも優しい印象じゃないけどなぁ…

本来のシルバーナーは酸が低くまろやかだそうで、栽培に関しても樹勢が強く、土壌を選ばないために収量過多になりがちなんだそうです
そこで、酸を保全して質を高めるためにも半分くらいは房を落として低収量にしないといけない、とのこと。

この「どこでも上手く栽培できる」のはいい事なんですけど、それ故にかつての70年代のドイツでは栽培のトップがこのシルバーナーで、30%を占めていたそうなんです
(80年代になるとミュラートゥルガウ、90年代にはリースリングへと変遷します)

なので、ドイツワインの生産者や古くからの飲み手には、シルバーナーは懐かしい(そして古臭い)品種なんだそうで。
へー、
そうなんですか
知らなかった〜

酸が少ないっていのは未だに信じられませんね
昔、シュナンブランが酸が強いって聞いた時と同じくらいの意外さかも。


他にも、10数年前まではリースリングは辛口でも糖度を調整して出荷する(酸が強くて酸っぱいので補糖して甘くしてた)のが普通だったとか、伝統的な大樽は地元のブナの木で作られている、とか。

同じ赤でも、シュペートブルグンダーとピノノワールと、二つの名前を使い分けてる理由など、
とても書き切れないほどのお話があり、大変勉強になりました

今店頭にある二つ以外にも並べてみたいワインがありますので、また仕入れたら続きを書くつもりです。

そして、やはり温暖化で栽培のサイクルや醸造の期間に変化が生じているドイツ。
寒冷なドイツは温暖化の恩恵を被っている方ですが、変えていくべきことが多いのは他産地と同じです。

これからも進化し続けるであろう、コッホ、是非飲んでみてください





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2023年06月03日

フルボディグルナッシュ


台風一過、見事に晴れた名古屋です

昨日はあんな大雨の中、ジゴンダス会をやりました
 
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来てくれた方に感謝。

なんだかんだ増えてこうなった ↓

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念願のバーティカルテイスティングでしたが、結構難しかった
もっと熟成の順番が分かりやすいかと思っておりましたが、必ずしもヴィンテージ順になってる訳じゃなかった。
意外に2013が若いとか。

サンタ・デュックはやはり素晴らしい
エレガントです。
「目指すはブルゴーニュのようなワイン」という言葉通りの流れの良さ、アルコール度数も結構あるのにそう感じさせません
外観は黒めですが、とても優しい。
どのワインもいいブケがしました〜



店頭には、ロベール・グロフィエの2021が入荷しました

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しかしー、なんて値上がりしてるのだろう。
レザムルーズが2020の12万円から20万円になりました
税込22万円、二万二千円じゃないのよね

誰か買う?

20以前の在庫があるからそっちにしなされ ↓
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2023年05月30日

健康第一さ


もう月末ですね。
東海地方も梅雨入りしました
5月の梅雨入りは10年振りらしいですが、ま、2日早いだけかな、と。

非常にどうでもいい個人的な事ですが、
てんちょ、今日は一年に一度の休肝日です

明日は健康診断の為、21時以降絶飲食〜
あー、たいくつじゃぁぁ

明日、反動で飲み過ぎないように気をつけます

さらば
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2023年05月28日

サントーバンとコート・デュ・ローヌ


もう週末は6月ですねー、2023年も半分終わりに近づいた


昨日はマルク・コランサントーバンを美味しく飲みました
 
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和食に合わせて良かったです
少し若かったですが、ブドウの質の良さがとてもよく分かった。

本当は全ての区画を飲み比べしたかったけど、手に入らず断念
マルク・コランは近頃すっかり人気で入手困難です
しかし、これはこれで満足。

一人で区画の復習しました

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マルク・コランHPより

↑ ちょっと簡略化された地図ですね、全ての区画名が載ってない、アトラスの出番だ。

やはり、ピュリニー・モンラッシェの特級の上部に繋がる区画、アン・レミリシャトニエールスー・ロッシュ・デュメイは高品質
立地からしても納得。
リュスは村名フォントノットなどのブレンドでおばあさんのお名前だとか。

今度は何を飲もうかな



棚卸をしなくちゃいけないのでその準備で色々ワタワタ
何回やっても棚卸は苦痛だー
しかも新システムなんで余計に面倒で…はよ慣れねば。



今日はこのワインを簡単に紹介します

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フォン・デュ・ヴァン(ファミーユ・ゴネ) コート・デュ・ローヌ・ルージュ レ・プロメス2020

フランス、南部ローヌの赤ワインです
グルナッシュ70%、シラー30%

カッコいいエッチングボトルですが、お値段は超リーズナブル。
野口君二人でおつり余裕

オリジナルのエッチングが入ったボトルは当然ながら特注ですので高いのですが、それをこうしたベーシックなワインに使ってるあたりにプライドと余裕を感じます

まぁ、当然と言えばそうかも。
フォン・デュ・ヴァンはシャトー・ヌフ・デュ・パプの生産者として、とても有名です
1600年に既にベダリッドというアヴィニョンから北へ6キロほどの場所に居を構えていた記録が残るほどの家系。
この場所はシャトー・ヌフ・デュ・パプのすぐ東隣です。
今でもパプの5つ星生産者です ↓

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HPより、以下同様

長い歴史を持つゴネ一族、ワイナリーを立ち上げたのは1950年ですが、この初代の当主はベダリッドの市長も務めた名士の家柄です。

このフォン・デュ・ヴァンが新しく取得した区画で造るワインが今日のコート・デュ・ローヌです
畑はアヴィニョンの西にあるドマザンという町の周辺。

シャトー・ヌフ・デュ・パプと同じく、ガレと呼ばれる丸い石がゴロゴロする地区です。 ↓

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農機具が使えないので(石だらけでねん挫しそうなほど)、ほとんどが手作業になります。
大変だぁ

この石が昼間の太陽熱を蓄積して、夜になると放出するので冷えに強く良く熟したブドウが出来る、のですが。
最近の温暖化でそれもどうなんでしょうねぇ…
水不足の方が心配かな。

お、なのでこの区画は北向きだそうです
なるほど。
(ドマザンはローヌ・ヴィラージュが名乗れるはずですが、それ以外のブドウも入ってるのかな、だからただのローヌかと)

100%除梗で発酵後、12ヶ月熟成。

まろやかで甘さと濃さのバランスがいいですね
難しい事まったくなし、ツルツル飲めます
誰でも好きと言ってくれそう

フランス人が食卓で一番愛飲すると言われるコート・デュ・ローヌ、正にそんなワインです
お値段も手頃だし、見た目もいいし、もちろん味も〇
文句なし

HPにはスパイスも合うと書いてある、カレーやクスクスに合わせて、だそうです
夏でも赤の方、おすすめですよ〜

















posted by cave MITSUKURA at 18:51| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする